立ち上がるグローバルサプライチェーン ロゼッタネットの衝撃

<立ち上がるグローバルサプライチェーン ロゼッタネットの衝撃>30(最終回).ロゼッタネットジャパンの設立まで

2004/03/29 16:18

週刊BCN 2004年03月29日vol.1033掲載

 1999年12月8日、東京・御茶ノ水スクエアにおいて、電子商取引の啓蒙団体であるコマースネットジャパン(CNJ)主催のセミナーが開催された。講演者は、ロゼッタネット(RN)の創設者でありCEO(当時)のFadi Chehade氏。参加者は200人を超え、用意した椅子が足りず立ち見がでるほどの盛況であった。参加者の熱気は、関係者をしてロゼッタネットジャパン(RNJ)の成功を確信させるに十分なものであった。

 日本電子機械工業会(EIAJ=現電子情報技術産業協会)のECALSプロジェクトに参画していたNECの森氏が、CNJの事務局を担当していたNTTコミュニケーションズ菅谷と筆者のオフィスを訪問してきたのはその年の10月である。ロゼッタネットから、EC業界における技術辞書としてECALS辞書採用の申し入れがあり、それを契機に日本においてロゼッタネット活動を立ち上げたいので協力して欲しいというのがその趣旨であった。

 当時、CNJでは、ロゼッタネットを米国のIT(情報機器)業界における先駆的な取り組みとして、2回のセミナーを開催するなどその紹介に努めていたが、IT業界では国内取引が中心であり、米国で策定された標準規約の採用には消極的であった。これに対して、グローバル取引が中心のEC(電子部品)業界は、国際的な標準の採用への意欲は高く、EC業界で採用されることによって下流のIT業界でもロゼッタネット標準の普及が進むことが期待された。とはいえ、日本におけるロゼッタネットへの期待は未知数であったため、冒頭のセミナーを企画して参加者の反応を確認することとした。

 セミナーの成功を受けて、「ロゼッタネットジャパン」設立の準備は急ピッチで進められた。CNJやEIAJ参加企業のほか、すでに米国のロゼッタネットに参加していたインテルなどが加わり、2回の渡米を含む米国ロゼッタネットとの交渉や5回の準備会議を経て、00年3月30日に行った設立記者発表には、31社が発起人として名前を連ねることになった。その後参加企業は続々と増加し、4月24日にはボード会員16社、パートナー会員31社、計47社をもって、ロゼッタネットジャパンがスタートした。

 ロゼッタネットの活動は、世界9か国・地域に広がり、ハイテク業界を中心に物流・金流業界を巻き込んだそのターゲットとする業務プロセスも、受発注プロセスだけでなく、需要予測や部品情報交換、保守・運用への適用も始まるなど、真の意味でのグローバルサプライチェーンの構築にあたって確固たる地位を占めつつある。そのなかでも、ロゼッタネットジャパンは主導的な役割を担っている。設立に関わった当時の関係者、特に設立の母体となり、様々な支援を頂いたCNJの関係者諸氏にこの場を借りて、深く感謝の意を表したい。(NTTコミュニケーションズ ロゼッタネットジャパン 伊坂広明)
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