WORLD TREND WATCH

<WORLD TREND WATCH>第201回 ブレード需要が急増

2004/05/03 16:04

週刊BCN 2004年05月03日vol.1038掲載

 これまでブレードサーバーは、ウェブサーバーなどネットのフロントエッジの利用に限られていたが、米国では03年後半より企業データセンターにも急速に普及し始めた。IBM、ヒューレット・パッカード(HP)、サン・マイクロシステムズもブレード新製品を次々と投入している。あるIBMパートナーは、「ブレードは今後、年2倍の勢いで伸び続けるだろう。その大部分はエンタープライズのデータセンター用途であり、多数の小規模ラックサーバーのコンソリデーション用のブレード需要が急増している」と語る。

データセンターが本命市場

 IDCは「03年中盤に世界サーバー出荷台数に占めるブレードシェアは3%に過ぎなかったが、07年にはシェア27%までに高まる」とブレード普及の勢いを予測する。また、IBMも次のようにブレード出荷の伸びを予測する。 「03年世界UNIXサーバー出荷は198億ドル。この成長はフラットで06年でも出荷は202億ドルにとどまる。これに対しLinuxサーバー出荷は、03年の31億ドルから年率25%伸びて、07年に76億ドルに達する。このLinuxサーバー台数では、ブレード型が大半になる」

 米国データセンターで特に需要が多いのは、IBMが発表したPowerチップとインテルチップ・サーバーを混載できる「JS20」サーバーだ。このブレード1台でLinux、AIX、ウィンドウズOSサーバーの複合的コンソリデーションが可能となった。これまでIBMのUNIXサーバーをブレードへコンソリデーションするにはインテルLinux型サーバーに限定された、アプリケーションによってはUNIXがLinuxへのマイグレーションに適合しないものも多かった。これが、ブレード内のPowerサーバーでAIX、Linuxをネイティブモードで稼動することで、ブレードマイグレーションが加速される。

 IBMは2-WAYのPowerベースのブレードも近々発表することを公表している。全世界のSMB(中堅・小企業)で稼動する60万台以上のeServer iSeries(旧AS/400)のコンソリデーション用途だ。「iSeriesユーザーでも、サーバー台数が増え、放置スペース、管理コスト抑制の点からブレード化の需要が高まっている」と、IBMのeServerディレクタ、ティム・ドーハティ氏は語る。HPはIBMのPowerブレードに対抗するため、AMDのOpteronブレードを04年後半に発売し、ブレードも64ビット時代到来となる。04年に入るとブレード用途はさらに広がり、SAP、ピープルソフトの本格的アプリケーション処理用に使われるようになった。アプリケーション処理でも、ブレードサーバーがもつロードバランシングや障害発生へスケールアウト方式で対応できるシステムマネジメント機能が高く評価されるからだ。

 Linuxサーバー投入で出遅れたサン・マイクロシステムズも、自社の新コンセプト「N1」に準拠した、グリッドコンピューティングソフトをバンドルしたブレードを発表し、IBM、HPと競合するデータセンターブレード市場に参入した。ブレードは久々のサーバー新市場で、ブレードを巡る競合は激しくなる。(中野英嗣●文)

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