三菱電機は、情報システム向け暗号化技術「ミスティ」や携帯電話向け暗号化技術「カスミ」など、暗号化技術の開発では競合のコンピュータメーカーに比べ優位に立っており、電子政府構築でも広く採用されている。

グループ会社の製品・サービスを結集

 その一方で、一般企業に提供する製品・サービスは、「三菱電機グループ各社がバラバラで提供しており、シームレス連携も取れていなかった。製品単体を個別で売っているような状況だった」と、三菱電機グループのシステムインテグレータ、三菱電機インフォメーションシステムズ(MIS)の飯島康雄・ビジネスソリューション事業本部セキュリティ・ネットワークソリューション企画部次長は話す。実際、MISのセキュリティビジネスの約80%を官公庁が占めており、一般企業へのセキュリティビジネスの拡大は難しいというのが実情だった。

 三菱電機グループには、情報通信サービスを提供するシステムインテグレータが4社ある。なかでもセキュリティビジネスの中核となっているのがMISだ。MISでは、製品・サービスを集約し、製品とサービスを組み合わせたソリューションとして販売するため、その体制作りやソリューションメニューの作成などを昨年6月から急ピッチで進めてきた。そして今年3月、セキュリティビジネスの中核ソリューションとして打ち出したのが「情報漏えい防止ソリューション」。

 情報システム・ネットワーク保護から従来の強みである暗号化技術を利用した一般企業向けの認証ソフト、入退室管理といった物理的セキュリティ対策まで、情報漏えい対策を総合的に提供できるブランドを立ち上げ、10種類の製品・サービスを揃えた。MISだけでなく三菱電機グループ各社の製品・サービスだけで構成するソリューションで、また、「既存の製品・サービスを組み合わせただけで、新たに開発した製品・サービスは特にない」(飯島次長)という。「引き合いは予想以上で、3月の発売以来今も対応に追われている状況」と飯島次長の表情は明るい。

 同社はこの情報漏えい防止ソリューションを、医療分野や一般企業にセキュリティビジネスの核として販売していき、3年間で約100億円のビジネスへと成長させる計画。これにより「一般企業向けビジネスと官公庁向けビジネスの比率を半々にする」(飯島次長)のが目標だ。最近の個人情報漏えい事件の多発や、来年4月に施行される個人情報保護法で企業の情報漏えい対策が重視される機運が高まっていることを追い風に、三菱電機グループの技術やノウハウをMISが集約し、総合力でセキュリティビジネスを拡大を図っていく。(木村剛士)