マイクロソフトの「オフィス2003」の主要機能の1つにXMLとの連動がある。ワードやエクセルなどで作成したデータをXMLに変換したり、逆にXMLデータをワードやエクセルなどに呼び出すことができる。ただし、この機能を十分に業務システムとして役立てるには、システム構築が必要になり、この点が従来のシステム構築を必要としないオフィス機能と大きく異なるため、販売上の課題となっていた。

オフィス2003とXMLでチャンスを

 ここにビジネスチャンスがあるとして事業拡大を目指すインテグレータがデジタルコミュニケーションズ(福重青史社長)だ。同社は、XMLの規格がほぼ固まった1998年にXMLに特化したシステムインテグレータとして創業した。福重社長は、「オフィス2003のXML対応が決まったとき、当社のXML関連ビジネスにマイナスに働くのではないかとも考えた。だが、実際はオフィス2003を活用したXML案件が増え、ビジネスチャンスが広がった」と、オフィス2003が企業の情報系システムにXMLを広げる役割を果たしたと話す。

 福重社長は、「オフィス2003の普及と同期しながら、XMLが多くの顧客の手元で使われる機会が増えた」と、XMLの大衆化が進んでいると指摘する。XMLはHTMLなどと比べて構造が複雑であるため、これまでは一部の先進ユーザーしか使っていなかった。だが、オフィス2003のワードなどで作成したデータが簡単な操作でXMLに変換できるようになったため、普及速度に弾みがついた。

 XMLの主な用途は、教材、マニュアル、eラーニングなど知識伝達に関する業務が中心。ある学習塾では、過去の試験問題をXML化し、生徒の学習レベルに合わせて柔軟に出題できるシステムを作った。「試験問題」という情報の中身をXML化した後、レベルに合わせて必要な情報のみをワードなどに呼び出すことで、知識伝達の効率を大幅に向上させた。

 オフィス2003により、XML生成が飛躍的に容易になったとはいえ、より高度な活用をするときは、別途システム構築が必要になり、「そこにビジネスチャンスが広がっている」(福重社長)と見る。今後は、XMLを活用した自社パッケージソフトを新規に開発し、XML関連のシステム構築のスピードを高める。さらに知識伝達の効率化がそのまま生産力の向上に結びつく情報システムや、これを支えるビジネスモデルを考案することで、XMLをベースとしたビジネスの継続的な成長を目指す。(安藤章司)