未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業 

<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>10.SRA

2005/01/10 20:43

週刊BCN 2005年01月10日vol.1071掲載

インドの子会社でコスト削減

 開発コストの削減ために、中国やインドのソフト開発会社を活用する動きが広まっている。

 大企業だけでなく、年商300億-500億円規模のITベンダーまで、インドや中国に開発拠点を設立したり現地のソフト会社と協業するビジネスモデルが普通になってきた。価格競争が激しくなるなかで、コストを下げるためにはオフショア開発が不可欠というわけだ。

 SRAは、オフショア開発に力を入れ、成果を上げている代表的な企業。2002年にインドのバンガロールに開発拠点を設立。それ以降、オフショア開発に拍車をかけている。03年度(04年3月期)に300人月の発注からスタートし、今年度は800人月、来年度には1600人月発注する予定だ。オフショア開発によるコスト削減効果は、日本のソフト会社に発注する場合に比べ、「最低でも20%、うまくいけば50%のコストダウンが図れる」(山崎善通・グローバルITサービスカンパニーバイスプレジデント兼産業システム部長)という。

 もともと、米SRAでは開発子会社設立以前もインドへのオフショア開発を活用していた。日本本社が積極的に利用し始めたのは、「低価格要求への対応」(山崎バイスプレジデント兼部長)がやはり理由の1つとしてある。「たとえば、ウェブシステム開発など高いスキルが必要ではないプロジェクトは、5年前の案件単価を100とした場合、今は60ぐらい」と厳しい環境を話す。

 米国の現地法人では、すでにインドの開発会社に開発委託していた。開発拠点を設けた03年度を実験運用の年とし、米現法が持つオフショア開発のノウハウを日本にも導入し、インドでも同じ開発環境を整備した。これによりオフショア開発特有の課題である、「賃金は安くても、文化の違いから再開発コストがかさんで狙ったコスト削減ができない」という問題を克服した。また、英語と日本語を話せるブリッジSE(システムエンジニア)を確保するため、海外での採用試験も行っている。今はブリッジSEを15人に増やした。

 山崎バイスプレジデントは、オフショア開発で成果を挙げるためには、「発注側の日本企業が変わらないとだめ」と説明する。「発注する際、日本企業同士のやり取りのように、曖昧な仕様書で発注するから再開発などの余分な費用がかかる。しっかりと仕様書を詰めれば、成果は挙がる。インドを生かせる技術者が真のブリッジSE」と話しており、そのための人材育成を急いでいる。(木村剛士)
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