e-Japanのあした 2005

<e-Japanのあした 2005>22.電子自治体ロードマップ

2005/02/07 16:18

週刊BCN 2005年02月07日vol.1075掲載

 総務省は、電子自治体が目指すべき全体像をまとめ、それを具体化するための「電子自治体関連事業ロードマップ」を策定した。国と地方の連携ではLGWAN、霞が関WANを活用して国・地方公共団体を通じた業務の効率化を図る──との目的を明確化し、総務省が電子自治体を推進するために取り組んできた事業を体系化している。国と地方、さらにITベンダーを含めて電子自治体が目指す全体像とロードマップが共有化されることで、地方自治体の取り組みも大きくレベルアップすることになりそうだ。(ジャーナリスト 千葉利宏)

 総務省では、昨年4月に「電子自治体のシステム構築のあり方に関する検討会」(事務局・自治行政局自治政策課)を設置、4月、7月に続き、先月27日に第3回会合を開いた。2002年度からスタートしている「共同アウトソーシング事業」に加えて、04年度からは国と地方の業務連携を実現するための「国・地方連携システム事業」と、共同アウトソーシング事業で開発した新型システムと既存のレガシー(旧式)システムを連携する「レガシー連携システム事業」を開始。検討会では新たにPMO(プロジェクト・マネージメント・オフィス)を設置して事業全体をプロジェクト管理できる体制も整えた。

 しかし、電子自治体に対する意識や考え方は、国と地方とで必ずしも共通化されていたわけではない。自治体の間でも首長のIT化に対する認識などの違いで格差がますます広がることも懸念されている状況で、今後の取り組みを積極化していくためにも、電子自治体の将来ビジョンを示す必要があったと言える。今回、総務省が示した「目指すべき電子自治体の全体像」では、これまではバラバラに描かれ関連性が判りづらかった共同アウトソーシング事業など3事業の位置付けが大きく1枚の紙にまとめられている。これによって各アプリケーションシステムをデータ連携するための標準化の重要性が一目瞭然となり、検討会では昨年11月末に新たに「データ標準化ワーキンググループ」を設置してXMLタグ設計のルール策定や実際の設計作業を精力的に進めていくことにした。

 さらにロードマップでは、総務省が05年度から開始する予定の「自治体EA(エンタープライズアーキテクチャ)事業」や情報通信政策局が担当する「次世代地域情報プラットフォーム事業」との連携も明記。共同アウトソーシング事業では、自治体の共同利用を目的に国が補助金を出してカスタマイズしてきたアプリケーションだけでなく、過去に自治体が独自開発したものも含めて自治体が共同利用できるアプリケーションをライブラリー化する「LGOTS(エルゴッツ)」の整備に乗り出す方針を打ち出した。

 「電子自治体の目指す方向性が示されたことは高く評価できる」(自治体委員)。問題は、ロードマップが示す電子自治体のあるべき姿と、地方自治体が置かれている状況との“ギャップ”をどう埋めていくか。検討会でも、取り組みが遅れている自治体への対策が重要との指摘があった。今後、先進自治体がロードマップに沿って電子自治体のシステム構築を積極的に進めていけば、ますます自治体間の格差が拡大する懸念もあるだけに、個別自治体に対する啓蒙・コンサルティング活動が一段と重要になってきそうだ。

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