未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業 

<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>24.イニシア

2005/04/18 16:18

週刊BCN 2005年04月18日vol.1085掲載

開発は台湾と中国で

 約20製品のパッケージソフトをコンシューマと法人の両市場で開発・販売するイニシア(平里守人代表取締役)。そのビジネスを支えているのが、台湾や中国のソフト開発者だ。

 台湾の台北市に、現地のソフトメーカーと合弁でソフトの開発と調達を行う現地法人を設立。商品のコンセプトや企画は日本で立案するが、実際の開発はこの現地法人や、協業関係にある台湾と中国のソフト開発会社に任せ、品質検証後に日本で販売していく。このほか、台湾や中国で販売されているソフトで、日本のユーザーにも受け入れられそうな製品を調達、日本語化して販売する。「商品企画は日本。開発は台湾と中国」というコンセプトでソフト開発・販売事業を進めているわけだ。

 台湾や中国のソフト開発会社を使う理由は、「人月単価が日本の開発者に比べ3分の1から4分の1」(蒲池寛取締役)という安価な開発コストが主な狙い。だが、それだけではない。「優秀な人材が豊富」(同)ということもメリットとして大きいという。

 「台湾や中国はIT教育が盛んで、IT産業への関心が高い。優秀なソフト開発者が急速に育っている」(同)ことも台湾や中国の開発者に着目した理由だ。「安く早く高品質のソフトを開発できる拠点になっている」(同)わけだ。

 台湾に現地法人を設立したのは、「台湾や中国では、日本人が出て行って交渉するよりも、現地の人の方が話が通りやすい」からだ。台湾の現地法人のトップにも台湾人を起用し、ソフトの外注先や調達先との交渉を任せている。日本の本社には、商品企画などのマーケティングスタッフと品質検証を行う人員しかおらず、あくまで開発は台湾と中国に委ねている。

 コンシューマ向け製品では、娯楽やユーティリティなどのジャンルを揃え、OEM(相手先ブランドによる生産)供給も行う。自社ブランドでは「マニアックユーザーをターゲットとした」(同)ニッチな製品を揃え、一般的なジャンルに関してはOEM供給ですみ分けを図っている。企業向けではセキュリティを中心にラインアップを揃え、システムインテグレータなどの代理店を通じた販売のほか、パソコンショップや家電量販店のソフトコーナーでも購入できるように販売チャネルを構築している。

 今年3月には、加バンクーバー市に販売拠点を設立。日本市場だけでなく、北米市場でも販売を始める予定でいる。

 「日本で企画し、台湾、中国で開発したソフト」を世界で販売していく計画だ。(木村剛士)
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