未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業 

<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>49.デュアキシズ

2005/10/24 20:43

週刊BCN 2005年10月24日vol.1110掲載

自社開発ソフトをアプライアンスに

 情報セキュリティ製品開発・販売のデュアキシズ(名古屋貢社長)は、自社開発ソフトをハードと組み合わせたアプライアンスとして提供することで力を発揮している。

 同社の主軸製品「アンサップス/UF」は、ウェブサイトへのアクセスを制限するURLフィルタリング機能を備えたアプライアンス。ウイルス感染サイトやフィッシング(インターネット上の詐欺)サイト、アダルトや暴力などの悪質サイトへのアクセスを制限する。

 デュアキシズが独自開発したパケットを高速に解析するソフトを搭載したことで、ネットワークにほとんど負荷をかけることなく、サイトをフィルタリングできるという。

 顧客ターゲットは通信事業者。携帯電話キャリアや通信事業者が、パソコンのインターネット利用者や携帯電話ユーザーにフィルタリングサービスなどを提供する際に活用する。顧客ターゲットを通信事業者に絞っているために、価格は1億9800万円と高額で、しかもマーケットは小さい。しかし、「インターネットや情報システムを使う際、インフラレベルでセキュリティを確保しなければならないと感じた」(名古屋社長)ため、通信事業者だけをターゲットとした高パフォーマンス製品の開発だけに力を入れてきた。

 元々はソフトのみで販売する計画だったが、大規模なネットワーク向けに開発された製品で、ソフトの機能を生かすにはハードに高い処理能力が求められる。そこで「ハードも自社で用意しアプライアンスとして提供することを決めた」(鈴木淳副社長)という。アプライアンスにしたことで、導入も容易になり、ユーザーの利便性も高まるという。

 「URLフィルタリング機能はようやく市場で認知されてきたレベルで、まだ啓蒙活動が必要。本格的に需要が顕在化するのは2-3年後だと思うが、必ずニーズはある。すでにいくつかの通信事業者が興味を示している」と名古屋社長は自信を示す。まずは、10万台の販売を目標に、直販とITXイー・グローバレッジ、ネットワンシステムズの2社を代理店とした間接販売を行っていく。

 また、「アンサップスと同等の処理能力や機能を持つ製品は、世界を見てもない」(名古屋社長)として、海外市場での営業活動も始める計画だ。

 ソフトの機能を十分に生かすため、ハードも用意することで、ソフトの強みを引き出す戦略だ。(木村剛士)
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