日本棚田百選のひとつ、鴨川市の「大山千枚田」は丘陵の南斜面に広がる375枚の棚田で、等高線がゆるやかな美しい曲線を描いており、まるで野外劇場の観客席をみるようです。

緑をたたえる大山千枚田

 2004年11月18日初めてここを訪れたときに、その余りにも美しい景観に驚き息を呑みました。地元にはNPO法人「大山千枚田保存会」(石田三示理事長)があり、棚田倶楽部も作られていて、活発に保全運営が続けられてきました。しかし一昨年秋に房総を直撃した台風に見舞われて、土堤が何か所も崩壊し、高齢者の多い地権者の手に負えなくなり、やむなく放棄田にするという話を聞きました。

 そこで、保全のためにショベルカー一式の寄贈を申し入れたところ、快く受け入れていただき、昨年1月15日格納庫共々寄贈式が行われました。当日はあいにくの寒風吹き荒ぶ中であったにもかかわらず、式場内は熱気に溢れ、笑い声の絶えない楽しいひとときを過ごすことができました。その後、「みのり号」と命名したショベルカーの見事な活躍で、早期に土堤が復旧できたと聞き、心から嬉しく思っています。

「みのり号」を鴨川市長に寄贈

 昨年は我が社の社員たちも数家族、棚田オーナーになり、大勢の人たちと一緒に田植え、草取り、刈り取りを行い、10月9日には収穫祭を賑々しく行いました。一時は崩壊寸前だったこの千枚田がこうして活気を取り戻し、全国棚田学会から景観美と管理運営の面で最優秀賞を頂くなど、地域の誇りとして、後世に残せることに関係者の1人として、喜びに堪えない。その後、来春オープンの研修宿泊施設改築にも一役買うことができました。(大塚商会名誉会長 大塚 実)