未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業 

<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>86.パイプドビッツ

2006/07/24 20:44

週刊BCN 2006年07月24日vol.1147掲載

重要情報の預かり代行サービス

 2000年設立のソフト開発ベンチャー、パイプドビッツ(佐谷宣昭社長兼CEO)が提供するASPサービスのコンセプトは、「データベースの銀行」。ユーザー企業の情報資産を代行して守るほか、その情報を有効活用するためのツールを提供するサービス「スパイラル・メッセージングプレース」を開発・販売する。

 個人情報や重要データの流出が後を絶たない状況下、「情報資産の管理をプロにお願いしたいと考えている企業が増え始めている」(佐谷社長兼CEO)という。

 「個人情報保護法」の完全施行なども追い風になり、01年のサービス開始以来、顧客を着実に増やしている。大手自動車メーカーや金融機関のほか、東京都練馬区など自治体も同サービスを使っており、約700企業・団体の情報を代行して守っている。

 01年に「プライバシーマーク(Pマーク)」を取り、昨年には「情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)適合性評価制度」認証も取得。個人情報を預かる体制を整えてきた。

 販売代理店を使っていた時期もあるが、サービス単価が安く代理店経由の販売が進まなかったため、今はすべて直販で対応している。

 スパイラル・メッセージングプレースは、“顧客情報預かりサービス”だけではない。顧客情報を有効活用するためのツールも提供している。

 パイプドビッツに預けた個人情報を活用し、メールマガジンを配信したり、アンケート調査を実施するためのアプリケーションを用意している。具体的には、(1)メール配信サービス(2)アンケート調査(3)資料請求・問い合わせ(4)セミナーへの勧誘通知・受付──などを用意。ユーザーは、ウェブ上から使いたいウェブアプリケーションと、活用する個人情報を選んで、エンドユーザーに向けてアンケート調査やDMを発送したりできる。

 一連の機能はすべてパイプドビッツの自社開発ソフトが基盤になっており、今後も基盤ソフトは自社開発にこだわり続けていく方針だ。現在は、SOA(サービス指向アーキテクチャ)を取り入れた新プラットフォームの開発を開始している。ただ、個人情報を活用するためのアプリケーションソフトは、「他社製ソフトもつなげていく」戦略で、他社とのアライアンスを今後の注力ポイントに位置づけている。

 今年度(07年2月期)の顧客獲得目標は1000企業。情報資産預かり業というユニークなビジネスモデルも、ベンチャーながら新マーケットで確固たるポジションを築きつつある。(木村剛士)
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