ウェブまわりでは最近、ウィキペディア、グーグル、はてな、などにアクセスすることが多くなった。私的感傷を許していただくと、親父が存命なら、ウィキペディアには、随喜の涙を流したことだったろう。旧海軍系で、大英帝国の文化を尊敬していたから、1930年代のエンサイクロペディア・ブリタニカを家宝のように、大切にしていたものだった。

 ウィキペディアはこの7月現在、日本語の記事は23万7000本とますます増加傾向にある。ある種の記事の中身はたしかに悪くない。例えば、

 「ウェブ2.0」

 「セマンティック・ウェブ」

 「ジョージ・レイコフの数学のメタファー論」

などの記事は、簡潔にまとまっていて、そんじょそこらの業界誌や学会誌の紹介より出来がよい。また、外部リンクから基本的な情報を辿ることができるのも便利である。

 ひとつには、同業者による鵜の目鷹の目の評価にさらされているという、ある種の競争原理と歯止め原理が働いているからであろう。だから、ブログや掲示板のやくたいもないスパムの嵐がないのもよい。

 本紙BCNに多少関係のある話題では、欧米のコンピュータ関連学会で、「サービスサイエンス」を興そうという動きが出てきている。こういう新しい動向の情報は、残念ながら、ウィキペディアにはそんなに多くない。インターネットの出現によって、従来のサービスとは違ったカテゴリの学問分野ができるはずだ、あるいはできてほしいという願望が底にあり、一部の先物買いが担いでいるわけだ。

 この新分野についても、いずれ情報処理学会などで、欧米の後追いで真似事をはじめることになろうが、ちょっと残念な気がしないでもない。

 ところで、樋口清之や日下公人についての日本版ウィキペディアの記事は、簡略に過ぎていただけない。つまり、ウィキペディアの記事は確かに多くなっているが、いかにも日本らしい独自の発想による記事はまだ少ない。IT産業におけるサービスのあり方などは、本来日本が牽引して世界に発信すべき分野だから、それにまつわる情報はしっかり記事にするべきだ。

 「グーグル」に対して「はてな」そのほかが、どういう新機軸をだすか興味をもってみているが、「ウィキペディア」に対してもどんな対抗馬が出てくるか興味のあるところである。