未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業 

<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>96.マイクロフォーサム

2006/10/09 20:44

週刊BCN 2006年10月09日vol.1157掲載

超安価なセキュリティソフト開発

 マイクロフォーサム(向井和徳社長)は、文書管理や有害サイト遮断ソフト(URLフィルタリングほか)など複数のセキュリティソフトの開発・販売を手がける1991年設立のベンチャー企業だ。設立当初は磁気記録製品の開発・販売がメインだったが、後にソフトに力点を置き、開発・販売を行ってきた。

 03年には東南アジアでデータの不正コピーが横行したことから、不正コピーを防止するセキュリティソフトを発売した。1クライアント100円という大胆な価格設定を断行。「100円コピーガードシステム」はマスコミに取り上げられ、注目を集めた。

 現在は5製品を販売。なかでも売れ筋の「S─Cop Secure Cabinet(エスコップ・セキュア キャビネット)」は、りそな中小企業振興財団ほかが主催する「中小企業優秀新技術・新製品賞」のソフトウェア部門で「優良賞」を受賞した。同製品はファイルをデスクトップ上のアイコンにドラッグ&ドロップするだけで自動仕分けし、サーバーの保存すべき場所に暗号化して保存するソフト。格納したデータは専用のビューアソフトでしか閲覧できない。データ変更などはすべてログで残る。管理者によって権限を変えることができ、閲覧・印刷・編集権限などをユーザーごとに設定可能だ。

 このほか、電子メールのセキュリティソフト「同 セキュアメール」は、受信メールの本文と添付ファイルを分離して、添付ファイルのみを別のファイルサーバーに格納。受信者のメールサーバー負担を軽減でき、十数MBまでの添付ファイルが送信可能になる。また「同 情報Pack」は暗号化したファイルをユーザーごとに閲覧・編集などの権限設定ができるソフト。エクセルやワードなどオフィスソフト用、Tiff画像用、ウィンドウズメディア用などラインアップが充実している。

 同じく売れ筋のリモートコントロールソフト「Cool Gate Web(クールゲートウェブ)ソリューション」は、100MBファイルを6分間で高速転送できる。大手ベンダーが2クライアント145万円なのに対し「1クライアント1000円未満と安価」に設定している。参入障壁が高いといわれる有害サイト遮断ソフトも開発している。「セキュリティコップ シャダーン」はデータベースに22万以上の有害サイトを登録し、有害単語なども遮断する。

 同社の強みは「安価で、使い勝手のよい製品を販売している」こと。技術面も「日本版SOX法などに十分対応できる」と向井社長は自負する。今後はセキュリティだけでなく「人の助けになるものを作りたい」と意欲をみせる。(鍋島蓉子)
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