中堅企業の開拓が急務

100-500億円企業を狙う

 受注案件の二極化が東芝ソリューション(梶川茂司社長)の課題だ。大規模案件と小さい案件の「中間が薄い」。売り上げへの貢献度が高い大規模案件は、失敗した痛手もまた大きい。「バクチのようだ」と神経を尖らせる。バランスをとり、リスクを緩和するには中堅企業の開拓が急務だ。

 大規模案件では従来通り、顧客に密着するアカウント戦略を推し進める。ここは同社の得意とする分野である。一方、中堅企業は年商100-500億円クラスをメインターゲットとして攻める。「これまで十分に入り込めていなかった」領域だ。中堅中小から大企業まで満遍なく顧客を持つことが安定成長には欠かせない。

 その戦略に基づき、中堅企業向けの体制を強化した。2006年5月1日付でグループ会社のイー・ティ・オー・エーと東芝関東情報システムを統合し、東芝ソリューション販売首都圏を設立。実力派の40代の若手キーマンを社長に抜擢した。東芝製品などの販売パートナーに対する営業で実績を積み上げ、「中堅企業の経営者の心をとらえてきた」人物である。

 東芝ソリューション販売首都圏は予想以上に早く立ち上がった。通期(07年3月期)で黒字化を予定していたが、実際は上期(06年9月末までの5か月間)の段階で利益が上がってきた。内部統制の強化などでIT基盤の整備を急がなければならない「中堅企業の引き合いの強さ」を実感する勢いだった。

 それに、製品戦略も功を奏した。独自開発した販売管理システム「ExePro(エクゼプロ)」など業務パッケージソフトを中心に営業。「とにかく早く稼働させたい中堅企業の需要とマッチした」と分析する。パッケージソフトを積極活用し、個別開発による商談や納期の長期化を避けたことも、上期で黒字化を達成できた要因である。

 中堅企業相手の取引は、件数が多いだけに販管費が膨らみがちだ。取り扱う商材や営業戦略のパターンを確立し、効率よく展開していくことで、中堅企業向けビジネスの大幅な拡大を狙う。

 東芝ソリューション全体で06年度の連結売上高は06年4月に東芝本体へ移管した連結対象子会社東芝アルパイン・オートモティブテクノロジーの事業を差し引いた前年比で約2%増の3012億円、経常利益は同約7%増の123億円を見込む。2年後の09年3月期には連結売上高3300億円、経常利益160億円をイメージする。

 従来の大手顧客を中心としたアカウント戦略に加えて、中堅企業向けの高効率な営業体制を築き、品揃えを拡大していくことで業績を伸ばしていく方針だ。(安藤章司●取材/文)