グローバルITサービスを加速

中国現地法人を本格立ち上げ

 住商情報システム(阿部康行社長)は、グローバルでITサービスを加速させる。今年に入り中国上海・大連にグループ子会社を設立。4月から本格的な営業を始める。これまで米国や欧州の子会社はあったが、今後は中国にも現地法人を立ち上げることで海外ビジネスの拡大に弾みをつける。

 欧米や中国の拠点を活用し、グローバルでビジネスを行っている顧客企業に向けたITサービスを拡充する。とりわけ上海周辺には多数の日系企業が進出しており、こうした顧客に対するビジネスを主軸に据える。

 グローバル展開する顧客に向けて自社の拠点だけでなく住友商事グループが世界中に張り巡らせたネットワークの活用も視野に入れる。またこのネットワークで捉えた最新のIT動向を積極的に取り込む。国内の競合他社に先駆けて世界のIT動向を把握し、主流になることが見込まれる有力製品やサービスをいち早く顧客へ提供することで満足度の向上に役立てる。

 ただ、現時点では売上高全体に占める海外比率はけっして高くはない。海外での実績を地道に積み上げていくことが、グローバル展開する顧客企業からの受注を増やすことに結びつく。海外ビジネスが増えてくれば「“住商情報システムはグローバル規模で強みを発揮している”と評価を得て、さらに多くの顧客から支持していただける」(阿部社長)と好循環をつくりだすことを狙う。

 上海と欧米拠点が顧客企業へのITサービスの拠点であるのに対して、大連はソフトウェア開発に主眼を置く。

 これまで中国とのオフショア開発では国内でソフトウェアを設計。その後、日本語と中国語に精通したブリッジSEを通じて中国の協力会社に発注していた。この方式ではブリッジSEが両国を行き来する非効率が発生してしまうため、今後は大連の自社拠点で、ある程度の設計が行えるようにする。

 「大連の自社拠点で詳細設計まで落とし込めるようになれば、その後の現地協力企業との意思疎通の効率化が図れる」と生産効率の向上を進める。ソフトウェア開発の平均的な営業利益率が5%前後といわれるなか、同社では大連を軸としたオフショア開発を軌道に乗せることで、将来的には業界水準を上回る10%を目指す考えだ。

 協力会社を巡っては阿部社長が住友情報システムの社長に就いた2005年4月から段階的に絞り込みを進めてきた。当初は20社余りあった中国の協力企業を4社にまで絞った。「それぞれ経営トップと太いパイプを持ち連携を強化している」と“太く長くつき合う”阿部流のスタイルに変えた。

 国内の大手SIerを見渡しても海外でのビジネス実績は決して多くない。それだけに海外で実績を積むことは、それ自体が差別化の大きな要素になり得る。商社系の強みを生かして海外での業績をどこまで迅速に伸ばせるかがカギになりそうだ。(安藤章司●取材/文)