「ポジティブ事業」に集中投下

データセンターの資源を活用

 日立情報システムズの原巖社長が作成した来年度(2008年3月期)から始まる4か年中期経営計画は、これまでになく挑戦的な内容だ。確かに4%以上の経常利益率を維持してはいるものの、最近4年間は業績がほぼ横ばい。この停滞感を打ち破る数値目標を掲げている。利益目標は明らかにしていないが、連結売上高は2010年度に最低2400億円、強気にみれば2700億円以上。M&Aの進展や新規事業と海外市場進出が成功すれば、3000億円も目指せるという大きな数字をぶち上げた。今年度の連結売上高見通しは1770億円だから、最低目標数値達成のためでも、年率約8%で成長していかなければならない。

 事業セグメント別に、2010年度までの計画をみよう。同社は事業セグメントを(1)システム運用(2)システム構築(3)機器サプライ販売の3つに分類する。売上高の伸びをもっとも高く見積もっているのが、システム運用事業。今年度見通し額に370億円を上積みする計画だ。その次がシステム構築で220億円の増加。機器サプライは微増で40億円を積み増す。

 システム運用事業の具体的な中身は、情報システムの代行運用や遠隔地からの監視サービス、ASPサービスを主に指す。システムを構築したら終わりではなく、その後の運用や保守サービスといったアフターサービスにもつなげる戦略だ。同社が全国19か所に設置するデータセンターのリソースと運営ノウハウを生かすわけだ。

 事業セグメント別だけでなく、原社長が成長計画を立てるうえで重視しているのが、「ポジティブ事業」と「ネガティブ事業」の選別。成長が期待できる分野を「ポジティブ」に位置づけてリソースを集中。一方で、市場環境の変化から今後成長が見込めそうもない「ネガティブ事業」には、積極的には経営資源を投入しない。ポジティブ事業のメインは、システム運用事業部門で構成するサービス群。ネガティブ事業に位置づけているのは、受託計算サービスやデータ入力サービス、ソフト開発、機器販売などだ。

 まずは、このポジティブ事業に位置する製品・サービス群の拡販に集中することで、直近の業績を着実に上げていく。それと同時に手がけていくのが、情報システムの「プール化構想」だ。

 顧客が持つハードからソフトなどのIT資産だけでなく、機密情報などもすべて一括で管理を請け負い、顧客は「いつでも・どこでも」好きな時にアプリケーションや情報をネットワークを通じて活動できるインフラを提供する構想だ。共通のインフラを個別に開発する必要もなくなり、コストは削減できる。

 日立情報は、このインフラづくりを長期的な視点でもっとも重要視している。そのために、データセンターの無人化、管理の自動化、システムリソースの仮想化技術の研究開発を本格化させるわけだ。とはいえまだ具体的な姿が見えていない「プール化構想」。もし実現できれば付加価値が高く、コストも削減でき利益向上が果たせる。日立情報システムズはこの領域に挑戦しようとしているのだ。