1月末にWindows Vistaが発売された。操作性やセキュリティが改善されてテレビや携帯機器との連携が楽になったという。前回のXP発売ほどではないにしろ、家電量販店やパソコン専門店には行列ができたと報道されている。しかし、一方でVista発売前にWindows XPを搭載した機種を購入する人もかなりいたらしい。実は、私もXP搭載パソコンを駆け込みで購入した消費者の一人である。

大幅に値引きされていたからではない。わが家のパソコン買い替えのタイミングからいえば、買い替えは1年後でもよかったのだが、Vista搭載ではなく、XP搭載のパソコンが欲しかったからである。なぜかといえば、職場のパソコンがXPだからだ。職場と同じ環境のパソコンが自宅にあったほうがなにかと便利だからXP搭載のものを購入したのである。私が職場で使っているパソコンは数か月前にリプレースされたばかりである。リースなので、数年はこのままだろう。たしかにVistaは進化しているが、企業にとって急いで買い替えたくなるほど機能が進化したわけではない。OSだけ入れ替えるという手もあるが、そんな作業をするほどの必要性も感じていない。

 実は、家庭でのパソコン利用者にもそう思っている人がいるだろう。もしかすると積極的にVistaに乗り換えようと思っている消費者のほうが少数派かもしれない。ビデオカメラで撮影した動画をパソコンで編集したり、家のテレビと連動させたいと考えているパソコン利用者ならばVistaは魅力的だと感じるだろうが、インターネットにつないでウェブページを見たり、メールをしたり、年末には年賀状を印刷するという程度の利用ならXPで十分だからだ。

 ワードやエクセルで資料を作成するにもXPで不満を感じることはほとんどないだろう。そんな利用者はわざわざOSのバージョンアップはしない。そして、パソコンを買い替えるまでVistaを利用することはないと思われる。

 この根本的な原因は、オーバーシューティング現象にある。つまり、新しいパソコンのハードウェアもソフトウェアも、利用者が欲しいと思っている性能・機能の水準を超えてしまったのである。こうなるとパソコンは壊れるまで使い続ける白物家電と変わらない。これは、技術的に成熟したという証であり、パソコン用ソフトのビジネスに変革の時がきているというサインでもある。