微弱電波でワンセグ配信

 富士通は今年3月、微弱電波を使って、ある特定のエリアに対してワンセグのコンテンツを配信するシステム「スポットキャスト」を開発したことを発表した。流通業、広告業などさまざまな業種での活用を見込み、製品化に取り組んでいる。
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 スポットキャストのアイデアは、もともと半導体などを手がける電子デバイス事業本部で考えられたものだ。

 同本部では「いかに多くのチップを埋め込めるかを考えるミッションがあった」と村田亮・サービスビジネス本部ネットワークビジネス推進統括部ネットワーク推進部プロジェクト課長は振り返る。そこから、ワンセグの「受信」を考えるだけではなく、配信技術についても考えるようになっていった。「ブロードキャストのような、どこでも同じように受信できる放送ではなく、狭いエリアに対して放送法、電波法など法規制に影響のない微弱電波でワンセグデータを流せば、何か面白いことができるのではないか」と思いついた。

 アイデアが出たのは2年前の2005年。ただ、電子デバイス事業本部では実際にハードを作ったりプロモーションを行ったりするのは難しい。そこでネットワークサービス事業本部が研究のための開発投資費用なども含めて引き継いだ。事業部のリソースを使いながらビジネスを軌道に乗せるため、村田氏の所属するサービスビジネス本部と一緒になって、今年3月に取り組みを始めた。

 ネットワークサービス事業本部では製品を開発し、エンタープライズ向けのルータ、スイッチ、アプライアンスなどネットワーク機器を取り扱っている。この、ネットワーク機器のラインアップにスポットキャストも加えていくことで、さらにネットワークビジネスを拡大しようと考えている。

 村田氏の所属するサービスビジネス本部では、事業部が開発した製品の販売推進、マーケティングなどを中心に手がけている。富士通のサービスビジネス全体を見ながら、ネットワークサービス、アウトソーシングなど、ありとあらゆるサービスを組み合わせて横串で提供することが富士通のメリットだと考え、顧客に提供している。

 「機械を単体で売ったところで儲からないだろう」。そのためスポットキャストをサービス化し、「コンテンツの配信や管理、保守・運用なども絡めたストックビジネスにしていきたい」と考えている。(鍋島蓉子●取材/文)