IT Stock Frontline

直近IPOの株価が上昇

2007/09/10 16:04

週刊BCN 2007年09月10日vol.1202掲載

上場銘柄少なく人気集中か

 世界的株価急落から立ち直るなか、新興市場は人気のバロメーターともいえるIPO(株式新規公開)の動向に注目が集まっている。上場審査の厳格化、マーケットの波乱もあって、9月の新規上場予定企業は4社(8月30日発表分まで)と少なく、逆に人気集中も予想される。

 こうした状況下、今年上場したIPO銘柄の株価が上昇している。例えば、ネットビジネス支援のフリービット(東証マザーズ)。業績の上方修正期待が大きいほか、東京電力子会社のプロバイダ、ドリーム・トレイン・ネットワークに対してTOB(株式公開買付)を行っており、その後の事業展開が注目される。

 8月2日に上場したフルスピード(東証マザーズ)の株価も急回復。顧客をウェブ検索ページの上位に表示されるよう支援するSEOコンサルティング業務で業界トップ。2008年7月期の業績は経常利益8億円(前期比2.3倍)と成長期待が大きいのも魅力。このほか、通信分野ソフトのサイバーコム(ジャスダック)などの株価が上昇している。

 ところで、ジャスダック証券取引所は、新市場「NEO」を8月13日に創設した。上場第1号は今秋になる見込み。既存のジャスダック市場との上場審査基準の違いは、利益の額について既存市場が「連結純利益が黒字か経常利益が5億円以上」といった基準を設けているのに対して、NEOには基準がない点だ。また、上場審査の内容でも、既存市場の「企業の継続性および収益性」の項目をNEOでは「企業の成長可能性」に置き換えている。そして、NEOには「新技術、新たなビジネスモデルによる売上計上から10年以内」という事業の経過年数の基準があり、成長力のある若い企業の上場を狙っている。競合する新興市場との差別化につながるかが要注目だ。(有賀勝久)
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