IT経営コーディネート 企業活性化にITCの妙手

<「IT経営」コーディネート 企業活性化にITCの妙手>22.スタジオアイ編(下)

2007/10/22 20:45

週刊BCN 2007年10月22日vol.1208掲載

スタンドアロンのネックを解消

 広島県呉市を拠点に多店舗展開しているスタジオアイ(相川敏郎社長)は、2001年から経営効率化のため、ITを活用した業務改革に取り組み始めた。写真館のデジタル化を進めるとともに、ERPを導入し、既存の顧客管理システムと連携することで全社的な一元管理システム構築を計画した。だが、顧客管理システムがスタンドアロンであることが、システム構築のネックとなった。

 写真館専用の顧客管理システムでは、七五三など節目の行事にあたって両親だけでなく祖父母にもダイレクトメールを送るなど、長いスパンで顧客との関係が続くため、世代を追って管理している。カスタマイズできるERPが見つけにくいなかで探し出したのが、既存の顧客管理と統合可能なピー・シー・エーの「Dream21」だった。

 当時、ERP自体は高額なものだったが、汎用を意識したパッケージメーカーが開発したソフトを採用することでコストを抑えることができた。ITベンダーのパルウェーブが参加し、「ノウハウ部分でカスタマイズも手伝った」(村山里香氏)という。パルウェーブとともにカスタマイズに携わった経営管理センターの広島システムソリューション部2課統括マネージャーの胡子英久氏は「操作の簡易性を実現するためインターフェースをできる限りシンプルにするのに苦心した」と語る。

 一元管理システムの構築で、収集に手間取っていた各店舗の売り上げがリアルタイムで把握できるようになったが、全社をネットワークでつなげたことにより、新たに業務上の問題が顕在化した。データの流れで、ミスや紛失が出ていることが明るみになった。これまで現像やプリントを行うラボラトリーの作業状況を知りたい場合は各店舗から電話で進捗を問い合わせる必要があった。工程管理はノートを使って手書きで行っていたのを、工程管理システムを導入することで、作業工程を可視化することができた。

 さらに、従業員の生産性の面で「1人が1時間にどの程度の売り上げをあげているか、また顧客の満足を得ることができているかを把握することができなかった」(相川社長)などの課題もあった。そこで本社にFAXで送信していた日報を、本社サーバー上の共有ファイルにエクセルを置き、各店舗が入力する形に切り替えた。また、店舗で従業員が顧客とともに撮影データの選定を行う際、バーコードにリーダーをかざすことで、選定を始めるシグナルとなって、人時がとれる仕組みも導入した。

 「業務でも、顧客にとってもまだまだ『便利にできる余地』はある」(相川社長)。業務へのITシステム導入は今も続いている。(鍋島蓉子●取材/文)
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