IT化計画までわずか2か月の早業

 独創的な「水平対向エンジン」を搭載する富士重工業の主力車種「LEGACY」などの自動車用アルミ部品を、年間20アイテムほど生産する栗田アルミ工業(茨城県土浦市、栗田容和社長)が展開した社内のIT化投資へ向けた動きは、驚くほど迅速なものだった。

 2004年9月、同社取締役総務部長である勝山勲氏が、古河ソフトウェアセンター(現在はいばらきIT人材開発センター)主催で地元ITコーディネータ(ITC)が講師を務めた「IT経営セミナー」を受講。ここでの講義内容に共感した勝山取締役は、栗田社長をはじめとする経営幹部にも内容を伝え、同年11月、役員・幹部にITCの堀越眞哉氏(星データ企画代表)らを加えた「経営戦略検討会議」を立ち上げる。

 そのわずか2か月後(05年1月)にはIT化計画をまとめ上げるという素早さだった。

 栗田アルミ工業は1957年に創業。現在、従業員195人を抱える。売上高は拡大を続け、今年度(08年3月期)は27億円に達する見込み。これまでに、高い精度の鋳物を短時間で生産する「ダイカストアルミ鋳造」に加えて加工組立技術などを確立してきた。

 「平成不況期」の99年に、地元大手地銀の常陽銀行から勝山氏(同年中に同行退社)を取締役総務部長として迎え、経営改革を継続してきた。この間、勝山取締役は、財務情報の開示など、数々の経営課題を拾い上げて解決してきた。

 だが、04年当時、「次の一手を模索し始めた」ところだったと振り返る。

 そんな閉塞感がみられた頃、上記セミナーに出会う。その後に開始した短期集中的な同検討会議では、勝山取締役らを中心に、全社員が参加するボトムアップで「経営課題」を発見する形式で議論を展開してきた。この場には堀越氏らITC3人が、古河ソフトウエアセンターの補助による「無料診断(10回)」活動として参加。ITコーディネータ協会が制作した「IT経営成熟度診断」を実施し、「栗田社長の想いや企業理念を基に、経営課題とIT化による解決法をITCプロセスに従って洗い出し、具体的なIT化計画へ落とし込んだ」(堀越氏)。ちなみに、社長、取締役が欠席することは一度もなかったという。

 最初の経営戦略検討会議では、「技術力の向上と人材育成」「在庫管理・生産管理の再構築とIT化」「社内コスト削減と原価管理」の3グループを設置し、宿泊施設で2日間の集中討議。最終的に「IT化計画書」を作り上げている。

 同社には元々、生産実績を収集し全社管理業務を支援するための「総合業務支援システム」がある。しかし、同システムでは「手書きの現場日報が入力されるため、集計するのに丸1日を要していた」(勝山取締役)ため、生産実績を生産計画に反映させるタイミングが遅くなる傾向があった。まずはこの部分をITで改革することに決めた。(谷畑良胤●取材/文)