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財務データのXBRL化進む

2008/04/07 16:04

週刊BCN 2008年04月07日vol.1230掲載

世界に先駆け日本が本格採用

 金融庁は4月1日以降に開始の事業年度から、有価証券報告書などの財務データをXBRL(eXtensible Business Reporting Language)方式で提出することを義務化する。XBRLは、財務データを効率的に作成・流通・利用できるよう国際的に標準化されたXMLベースの言語。2008年は金融商品取引法による開示制度大変革の年と言われるが、その象徴が財務データのXBRL化で、日本が世界に先駆けて本格採用する。

 金融庁は3月17日に電子開示システム「EDINET」をXBRLに対応させた。これに続いて、東京証券取引所も適時開示情報システム「TDnet」のXBRL対応を進めており、今年7月に本格稼働の予定。このためXBRL対応の財務データを目にするのは、3月期決算企業の2009年3月期第1四半期(4-6月)決算短信からとなる。

 財務データのXBRL化は企業側にとって、業務の効率化や各種資料作成作業の簡素化というメリットがあり、投資家にとっては財務データを計算・集計可能な形で容易にパソコンに取り込めるようになる。

 これにより財務データを人海戦術で入力している業種には逆風が吹く一方で、会計ソフト企業にはビジネスチャンスが訪れる。例えばジャストシステムがXBRL形式の財務諸表データ作成ソフトを2月に投入したほか、ワークスアプリケーションズも対応済みだ。

 このXBRL化した財務データの提出は、すでにスペインやオランダなどでも行われているが、これらの国は監督官庁による内部利用にとどまっている。第三者が利用しやすくなるXBRL化で日本は世界をリードする格好。XBRL化で財務諸表の英語変換が容易となり、言語の壁が取り払われることが注目点だ。海外投資家の間で日本企業の評価が高まる要因になる可能性もある。(有賀勝久)
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