ウルトラモバイルと呼ばれる超軽量薄型ノートの登場で、PCのモバイル需要が復活する兆しが見えてきた。火つけ役は、今年1月に登場したASUSの超軽量ノートPC「Eee PC」だ。重さ1キロのボディに、7インチ液晶を搭載して5万円以下という低価格がうけて、一時は入荷が間に合わないほどの人気を呼んだ。これを機に、2月にはB5サイズ以下の軽量PCの比率(台数)が、久々にノート全体の10%を超えた。

 「久々に」と前置きしたのには理由がある。携帯電話にメール端末の主役の座を奪われて以来、モバイル用ノートPCは低迷が続いてきたからだ。2001年頃には、B5サイズ以下のサブノートがノートPC全体の25%近くを占めた時期もある。が、その後は減少を続け、最近では7%前後にまで落ち込んでいた。ノートPCといえばDVDマルチドライブに大容量のHDDを搭載した重装備の「据え置き型」が中心。需要のボリュームゾーンからはずれたモバイル用PCよりも、A4サイズの普及型モデルに注力するほうが収益効率は高いというのがメーカーの本音のようだ。

 しかし、今後の市場を考えると、モバイル需要の開拓は避けては通れない。情報端末が無線でつながるユビキタス時代が標榜されるのに、日本のパソコン市場はモバイル用途に背を向けた片翼飛行を続けているからだ。

 そうした意味で、今回のブームはモバイル需要の復活を占うカギになる。その裏側には、ノートPCを本格的にモバイルで利用するための環境が整ってきたという状況があるからだ。例えば、3.5Gの携帯電話では、データのパケット通信は最大7.2Mまで高速化された。料金も定額制で、戸外でもストレスなくメールやネット接続ができる。さらに、データ通信カードの普及を図るために、カードの代金を無料にし、パソコンと同時購入であれば3万円引きというキャンペーンも展開されている。5万円前後のミニノートでも、データ通信カードとセットなら、購入価格は2万円に抑えられる。一方で、PCとの新しい複合商品として、Windows Mobileを搭載したスマートフォンも登場した。

 一連の動きは、モバイルPCが実需として立ち上がるための環境条件が出揃ったことを物語っている。この好機を捉えて、PCがモバイル端末の主役の座を取り戻せるのか。大手メーカーがどこまで本腰を入れた市場開拓に乗り出すかが、そのカギを握っている。