特定ジャンルを重点強化

 動画投稿サイトの攻防が激しさを増している。家庭用ビデオカメラで撮影した映像を投稿して楽しむことから始まった動画投稿サイト。わずか数年のうちに全世界に広まり、アニメや音楽、エンターテインメントなどさまざまなジャンルで盛り上がりを見せる。ビジネスとして大きく成長する可能性も高い。本稿では、大きく変貌を遂げようとしている動画投稿サイトビジネスの最前線を追う。

 グーグル傘下の総合動画サイト「YouTube(ユーチューブ)」が世界中に広まるなか、国内ではアニメや音楽、エンターテインメントなど特定のジャンルを重点的に強化することで勝ち残りを模索する動きが活発化している。

 ドワンゴグループが運営する国内最大級の動画投稿サイト「ニコニコ動画」のユーザー登録数は今年5月、700万人を突破した。2007年3月に登録制をスタートしてから1年余りで爆発的に視聴者が増えた。今年3―4月にかけて計測した1日あたりの平均訪問者数は173万人、同動画再生回数2700万回、コメント投稿数480万件に達する。

 1日あたりの訪問者数は神戸市の人口を上回り、1人あたり平均15回余りの動画を視聴、3件近いコメントを書き込むモンスター・サイトだ。

 人気の秘訣はアニメやゲーム好きなユーザーを巧みに捉えたこと。アニメとゲームは日本を代表するサブカルチャーのジャンルで、青少年から団塊ジュニア世代まで支持層は厚い。

 例えば、アニメでは「ルパン三世カリオストロの城」をリアルタイムで見た30代後半から「涼宮ハルヒの憂鬱」などに影響を受けた10代の若者。今年3月末時点のユーザー構成は男性比率が71%、年代別では20代が47%と最も多く、次に10代が28%、30代の18%と続く。アニメ・ゲーム好きな比較的若い男性を巧みに取り込み、独自のユーザーコミュニティを構築しているのが「ニコ動」の特徴だ。

 動画投稿の中身は、アニメやゲームのキャラクターを使った二次創作が多い。昨年夏頃からは電子の歌姫「初音ミク」の歌声に合わせてアニメ調のビデオクリップ映像を添えた動画も多数投稿され、人気が高まった。初音ミクのキャラクターは二次創作だが、楽曲はオリジナルが多く、DTM(デスクトップミュージック)ユーザーの獲得にも成功している。

 特定の方向性があり、かつ一定の規模を持つ動画投稿サイトは、すでに立派なマスメディアといえる。広告やアフィリエイト、物販などさまざまなビジネスの可能性が広がる。次回からそのビジネスモデルを検証していこう。(安藤章司●取材/文)