編集ソフトの需要生まれる

 YouTubeやニコニコ動画、zoomeなど動画投稿サイトの新興勢力によって、動画編集のパッケージソフトビジネスにも変化が出始めた。動画投稿に対応したソフトが相次いで売り出され、新たな市場が生まれる。動画投稿サイトのユーザー数が予想以上の速さで拡大。ソフトメーカーもそのユーザー動向を無視できなくなった様子だ。

 動画編集ソフトの代表的存在は、映像編集とDVDへの書き込み(オーサリング)ソフト。子供や家族などの映像を編集してDVDに保存する用途を想定した製品が多い。古くからある成熟市場で、ユーザー年齢層が比較的高いのが特徴。これに対して、動画投稿用の編集ソフトのユーザーは若年層が多く、両者は似て非なるもの。需要の拡大はこれからが本番と見られる。

 従来の動画編集ソフトは、DVDビデオ用のメニューボタンやシーンを区切るチャプターなどをつくり、出力先はテレビを前提とする。一方、動画投稿サイトの大半は再生にFlashプレーヤーを使っており、出力先がまったく異なる。Flash規格に適合し、かつパソコンモニタ上に映し出される小さな画面でも高精細に表示する技術が不可欠。この技術はiPodやPSP、一部の携帯電話に採用されている。制作工程はiPod向けの動画と共通する点が多い。

 見方を変えれば、動画投稿サイト用に制作された映像は、iPodなどモバイル機器に入れて持ち運ぶことが容易であり、モバイル向けのコンテンツ供給源になる可能性がある。市販DVDやデジタルテレビ放送のコピー制限が極めて厳しいことも、こうした流れを後押しする。

 ユーザーの動きを敏感に察知するソフトベンダーは、対応製品を相次いで投入。サイバーリンクトランスデジタルは各種動画フォーマットをFlashビデオへ変換する「flv studio」、アイアールティは動画投稿サイトから動画をダウンロードして保存する「動画ダウンローダーNICO NICO」などを製品化。ジャングルは投稿動画をiPodなどモバイルで見られるようにするソフトの開発を進める。

 テレビ番組の録画やDVD制作に関連するソフト市場は飽和状態にあるなか、「動画素材→パソコンで編集→動画投稿サイト→パソコン・モバイルで視聴する」という新たな流れが生まれた。配信後は別のユーザーによって再編集され、再び投稿されることもある。ソフトベンダー幹部からは、動画コンテンツの制作や編集を巡る「潮目が変わりつつある」という声も聞かれる。ニューメディアとして急成長する動画投稿サイトの波及効果は、動画編集ソフト業界にも影響を与える。(おわり)(安藤章司●取材/文)