視点

iPhoneのソフトウェア・ビジネス

2008/08/04 16:41

週刊BCN 2008年08月04日vol.1246掲載

 iPhone 3Gが7月11日に世界22か国で発売になった。新聞報道によれば、わずか3日間で販売台数は100万台に達したという。初代のiPhoneの場合、発売台数が100万台を超えるのに74日を要しているというから、これは記録的な数字であることは間違いない。ただ、すべてが順調だったわけではない。iPhone 3Gを購入したユーザーは、最初にアクティベーション(初期設定)を行う必要があるのだが、米国ではAT&Tのアクティベーション・サーバーへのアクセスが殺到し、機能麻痺したという騒動が起きている。

 このiPhoneに関しては、もう一つ驚くべき数字がある。同時にオープンしたiPhone用のオンラインストア「App Store」のダウンロード数が1000万件を記録したというのだ。App StoreはiTunes Music Store内に設けられており、iPod用に音楽をダウンロードするのと同じようにアプリケーションをダウンロードできる。App Storeには7月15日現在で約800のアプリケーションが登録されている。

 ちなみに、iPhone用のアプリケーションを開発するためのソフトウェア開発キット(SDK)は、2008年3月6日に公開されており、誰でも無料でダウンロードできる。このiPhone用のSDKも3か月あまりで25万件を超えるダウンロードがあったとアップル社が6月10日に発表している。

 つまり、誰でもiPhone用のアプリケーションを開発し、それをApp Storeに登録することによって販売・配布することが可能な仕組みができている。アプリケーションの売り上げの70%はその開発者に分配される。有料で頒布されているアプリケーションの価格は、その多くが99セントから9・99ドルの間であるが、中には29・99ドルあるいは39・99ドルのものもある。

 これは実にうまく設計された仕組みである。腕に覚えのあるプログラマならiPhone上で動く魅力的なアプリケーションを開発してみたくなるだろう。アプリケーションが増えれば、iPhoneがより魅力的になり、販売台数も増える。iPhoneのユーザーが増えればApp Storeからダウンロードされるアプリケーションの本数も増える。こうしたWin-Winの関係を作るのがプラットフォームビジネス成功の秘訣である。
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