「サービス」を成長の柱に

 SIerのインフォコム(吉野隆社長 CEO)は今年7月、サービスを主に手がける、「ソフトウェアサービス推進部」を設置した。幹部社員が議論の末に導き出した結果だ。ASP/SaaSなどに代表される「サービス」に重点を置くことでさらなる利益を獲得していく戦略に基づく施策だ。

 インフォコムは帝人と日商岩井(現・双日)の情報システム子会社が合併して誕生した。親会社のシステム開発を経て、外部のシステム開発、そしてパッケージと、ノウハウを蓄積してきた。最近は着信メロディなど、コンテンツにも力を入れている。

 昨年12月、同社の部長クラスが集まり、研修が行われた。いくつかのグループに分かれ、議論したのが、業績を本来の軌道に乗せるために「次の事業展開をどうするか」ということだった。これまでサービス事業とは関係のないセキュリティ関連を手がけていた新須哲朗・製品サービス事業本部ソフトウェアサービス推進部部長は、「議論するなかで、現在の製品提供形態から、より手離れよく顧客が導入しやすいものとして『サービス事業』に着目した」と振り返る。ASPやSaaSなどはストックビジネスという利点もあり、新しい提供形態として注目されている。成長の柱として自社のノウハウを生かしながらサービス事業を育てたいという思いがあった。

 新須部長は自分のグループで出た結論を部長研修出席者の前で発表する立場だったが、それがきっかけとなり、新しい事業部立ち上げの推進役になった。

 「インフォコムのグループ会社内に存在する、優れているが、もっと世に出していきたいというソリューションがあった」(新須部長)。サービス事業の展開はグループ会社のソリューションを持ち寄るだけでなく、子会社の手がけるソリューション案件の移行など大掛かりな再編を必要とした。最初に事業部に持ってこようとしたのがコールセンター向けソリューションの「LACTEUS(ラクテアス)」と、子会社イメージシティが販売する緊急連絡/安否確認システム「エマージェンシーコール」だ。どちらのソリューションも、すでに実績をあげているため、「『少し変えます』でも勇気がいる」(同氏)。これまでのやり方でそれなりに成功しているため、「従来どおりでいい」と考える人もいるからだ。グループ会社、別部隊の手がける商材、そして人材をソフトウェアサービス推進部に移行しようという際には、保守的な考えをもつ人を説得するのに骨を折った。