外注作業をWebEDIで見える化

 精密ダイカスト部品・金型の設計・製造業の田中精工(京都市)は、2006年12月に外注先も利用できるEDIシステムの開発に動き出した。全業務量のなかで外注企業に任せる約30%の仕事を「見える化」しようとしたプロジェクトだ。

 新EDIシステムは、ITコーディネータ(ITC)坂田岳史氏のサポートだけでなく、外注先担当者も参加する協議会を設立して、システムの具体的な仕様を詰めた。今回のプロジェクトを指揮した田中精工の坂本栄造・取締役部長情報システム担当は、「ITに対してそれほど関心が高くない外注企業に、『うち(田中精工)がシステムをつくったからこれを使え』では利用してもらえない。外注先の要望も取り入れ、準備段階から参加してもらうことで、外注先の新システムへの関心を高めたかった」と協議会形式を採用した理由を話す。

 坂田ITCは開発・導入作業をこう振り返っている。「システムの開発自体は、田中精工の自前技術者を活用したこともあって、ほぼ計画通り。問題はなかった。ただ、生産・工程管理システムをこれまで1度も使ったことがない外注企業にどう利用してもらうかに力を注いだ」。坂田ITCは坂本取締役とともに、「EDIとは何か?」などの勉強会を月1回定期開催した。導入の際は、利用方法をレクチャーするために外注先企業に足を運んだことも多かったという。

 実際のシステム開発は、自前でソフト開発技術者を保有していることから、ITベンダーに外注せずに、田中精工の社員が開発。4か月の開発と、3か月のテスト・導入期間を経て今年4月1日に稼働させている。受発注情報をインターネットで自動的に送受信・確認できるほか、受発注後の工程を外注企業が管理し、田中精工はそれを閲覧できるようになった。外注先のシステム利用料金は無料だ。

 システム運用から半年を経た段階だが、すでに効果が出始めた。田中精工では、購買外注業務が約2分の1に圧縮でき、外注発注計画の精度が向上して無駄な発注の抑制につながった。仕掛在庫も従来に比べ5%削減できた。昨年度20件あった社外の不良在庫発生件数は、システム稼働開始から1つも出ていない。

 田中精工は、経済産業省が推進する「中小企業IT経営力大賞」の07年度「IT経営実践企業」に選ばれているが、今回のEDIシステムの活用実績をもとに、08年度にも再度応募する。また、「田中精工のように、下請け企業の生産・工程管理ができないと悩んでいる製造業は多いはず。それらの企業への販売を計画している」と坂田ITCは今後の新たな展開を話す。協議会という形式で外注先企業の意見も取り入れたEDIを、自社利用だけにとどめようとはせず、ビジネスに結びつけようとしている。(木村剛士●取材/文)