エンジニアリング大手の日揮が、ソフトブレーンと二人三脚で開発した「e工程マネージャー」。プロジェクト・工程管理が必要なあらゆる業種に対応できる共同開発ツールだ。プラントで培った強みのプロジェクト・工程管理ノウハウをどのようにソフトウェアに生かしたのか。その誕生までのプロセスと強みを探った。(木村剛士●取材/文)

多業種展開できるツール

ソフトブレーンと共同開発


 日揮は2000年、新規ビジネスとして生産・物流系システム開発を中心としたSIサービス市場に参入した。自社ノウハウを生かしたソフトウェアを商品ラインアップに加えることで競合SIerと差別化しようと考え、「e工程マネージャー」を誕生させた。プラントエンジニアリングで長年培った日揮のプロジェクト・工程管理ノウハウと、ソフトブレーンの営業支援ツール「eセールスマネージャー」のプロセス管理エンジンを組み合わせた共同開発製品だ。

 「e工程マネージャー」の開発を指揮した日揮の佐藤知一・第2プロジェクト本部担当部長は、コンセプトとしてこだわった点をこう話す。「常時変化するプロジェクトの進捗を迅速に把握できるリアルタイム性と、メンバーが容易に参加できるコラボレーション機能、プロセスをユーザー自身が自由に設定できる柔軟性をとくに重要視した」と。

 開発には、ソフトブレーンの中国拠点開発者も活用したオフショア開発を取り入れた。マーケティング戦略上、開発工期は約7か月しかとれなかった。中国現地でのプロジェクト・マネジメントを含め、二人三脚で開発した。

 ソフトを動かすミドルウェアには、日本IBMの「WebSphere」を採用。ソフトブレーンが日本IBMのISVパートナーであることも採用理由だが、その安定性と高機能を高く評価した。また、ソフトブレーンマーケティング部の久場純哉氏は、「日本IBMの問い合わせに対するレスポンスの早さや対応のきめ細かさ」などの支援体制も評価している。約7か月で開発を終わらせ、04年12月、無事「e工程マネージャー」の販売開始にこぎつけた。同ソフト自体の開発プロジェクトでも、日揮の管理ノウハウが生かされたというわけだ。

 日揮の事業再編により、SI事業部門は情報システム子会社の日揮情報システムに移管。「e工程マネージャー」の販売は現在、実質的にソフトブレーンが直販する体制に変更されている。「e工程マネージャー」はバージョンアップを重ね、08年3月には新版「Ver3.0」をリリース。これまでにSIerやソフト開発企業、出版、機械メーカーなど、多くの業界で利用され、着々と実績を積み上げている。

 プラントエンジニアリングの日揮と営業支援ソフト開発のソフトブレーンのタッグで開発した「e工程マネージャー」。SI業だけでなく、建設業や製造業などプロジェクトや作業工程の管理が必要なあらゆる業種に対応できるツールとして拡販を図っている。