製品発表に協業打診が相次ぐ

 インフォテリア(平野洋一郎社長)がマスターデータ管理ツールの「ASTERIA(アステリア) MDM One」を開発するきっかけとなったのは、パートナー企業の役員から「MDM(マスターデータ管理)を知っているか」と問われたことだった。当初は主力製品のデータ連携ミドルウェア「アステリア」のオプションで提供しようと考えていたが、調査の結果、単独製品として提供していく必要があることが分かってきた。

 MDMの概念に触れ、プロジェクトの責任者である山崎将良・エンタープライズ事業部 企画部 製品戦略マネージャは、本格的な製品に仕上げるためには多大なコストと労力がかかるだろうと覚悟していた。ところが、実際に開発部門に話を持ちかけたところ、「製品群の中心となるマスターハブに関しては、かかった開発期間はわずか半年。驚異的なスピードだった」(山崎氏)と振り返る。


 MDMはすでにSAPやIBMなど、海外の大手ベンダーが日本国内で展開している。海外ベンダーはすべてを1社で提供できるほどプロダクトラインアップが多岐にわたる半面、MDMを実現するためには、必ずこれら海外ベンダーの製品を導入する必要がある。インフォテリアの製品はそういった制約がない。どの業務システムをユーザーから指定されても対応できることが強みとなる。「MDM Oneの発表後、『一緒にやろう』とさまざまなノウハウを持つ企業がコミュニティのように集まってきた」(油野達也・執行役員エンタープライズ事業部長)。


 MDM Oneは、さまざまなシステムのマスターを、体系づけて管理することで、経営品質の向上を図る。構成するのはマスターデータのメンテナンスや統合管理を実現する「MDM One MI」、コンサルティングなどMIを導入するための支援サービス「同GT」。更新・追加情報を統合管理して各システムに配信するデータハブ「同MH」、各システムのマスターデータのクレンジング・名寄せを行い、情報の統一を図るサービス「同DQ」の2サービス、2製品。同社はこれらのソリューションを実現するうえで、従来の自社ビジネスの枠を越えた企業をアドバイザリ・パートナーとして迎え、協業した。


 「市場のアーリーアダプタに目をつけ、外注先のコスト削減や顧客のCSの向上など、経営品質に意識を向けている」(油野部長)。反響もあるが、大多数は様子をうかがうような状態だ。潜在的ニーズはある。今後3年間でアステリアの売り上げと同水準まで引き上げたい考えだ。(鍋島蓉子●取材/文)