JOYSOUNDの技術を応用

 ブラザー工業(小池利和社長)はランニング・ウォーキング向け音楽配信サービス「EXERMUSIC(エクサミュージック)」を子会社エクシング(吉田篤司社長)を通じて提供している。昨年12月に考案した、運動リズムに音楽リズムを自動的に同期して配信するというアイデアだ。当初の案は漠然としていて相手にされなかった。だが、スポーツの専門家の金哲彦氏に出会ったことが事業化を後押しした。

 知人を介して金氏と出会った西川浩・N&C事業推進部 チーム・マネジャー。金氏もスポーツと音楽との関係性を研究していることを知り、意気投合した。案を具体的に詰めて12月後半に改めて提出した企画が、今年2月の経営トップが出席する会議で承認された。3月からウェブサイトなどのソフト開発に入った。


 ユーザーのレベルに合致した、一定テンポで運動を行えば無駄がなく、ケガの防止にも効用がある。だが、運動テンポにマッチした楽曲は限られているうえに、膨大な曲のなかから探し出すのは至難の業だ。


 そこで、「EXERMUSIC」ではJOYSOUNDが保有する、10万曲のなかから1万曲を抜粋。ウェルネス、初級、上級などのレベルや、メタボ対策、マラソンレース出場など目的に合わせてユーザーがコースを選択し、目標の減量体重と期間、現在の体重を入力。するとシステムが自動的にウォーキング・ランニングの運動時間、消費カロリーが分かるワークアウトメニューを表示してくれる。幅広いワークアウトメニューのなかから、自分の好きなメニューを選択し、その後に、好きな曲をいくつか選べば自動的に楽曲のリズム調節を行いメドレー化したデータをMP3ファイルで配信する仕組み。メドレー機能にはJOYSOUNDの「CLUBモード」の技術を応用した。


 西川氏はこのためにランニングをはじめ、実際にレースにも出場しながら、限界状況下でもつらくならない楽曲アレンジを試行した。また、膨大なメニューがあるなかで、楽曲データの前後、合間に収録されている金氏のガイダンスは、2000種類に及ぶ。「当初、録音などすぐ終わると考えていたが、結局2か月半、酸素マスクを使いながら録音した」(西川氏)というような苦労話も。


 2010年3月期には年間200万ダウンロードを目指す。「マラソンは普通に苦しいもの」(西川氏)。今後は「なりきりジョギング」の応援ソングに「なりきりロッキー」などエンターテインメント性に富んだスペシャルコースも追加リリースする予定だ。(鍋島蓉子●取材/文)