10月15日号の日経コンピュータ誌に、良品計画が独自のシステム開発を武器にして、5期連続の増収増益を続けていることが報じられている。業務の品質を高め自動化するシステムを、完璧を目指さず「7割主義」で開発して、その検証と改善を繰り返す新しい開発体制を確立したのだ。その考え方は、従来の常識を打ち破る革命と言ってよかろう。

 同社は、約25万種類ある商品の在庫管理や営業管理など、業務全体を管理するシステムを8人のシステム部員で構築した。そこにはミドルウェアやパッケージソフトは一切なく、全データはテキストファイルとして保存され、それをUNIXのシェルコマンドで加工する。基礎データは書き込まれたら消されることはないので、管理不要なうえにビジネスの経過を全て記録・再現できる。メモリが安くなった事情をフル活用しているのであるが、その速度は超高速で、普通のパソコンを使っても25万件の商品データを約2秒で全件検索できる。


 必要なコマンド数は30程度で十分とのことから、2週間訓練すれば、誰でも簡単なデータ検索アプリを作れるようになるという。8人のシステム部員のうち、5人は利用部門経験者だ。業務スキルを持った人が開発することになるので、現場とシステム部の間の意思疎通が問題になることもない。サンプル画面を見ながら、70点レベルに仕上げ、それを実際に使いながら完成度を上げていく。開発依頼が来たら次の日に稼働させるくらいに、開発スピードが速い。


 このシステムが増収・増益経営に貢献できた理由として、同社が業務標準化を目指して、システムを社員全員が同じ価値観とルールで行動できる仕組みと位置づけた点も見逃せない。現場が必要とするツールを、現場の要求に従って短時間のうちに作り出す。その実用性が確認されれば、それを全社に広げることは容易である。万人のためのパッケージを使うのとちがい、仕事にこだわる日本人のメンタリティに合っている。


 簡単にコマンドが習得できるからといって、実は誰でも実用システムが簡単に構築できるようになるわけではない。自分の行ないたい業務をきちんと記述できる人は多くないのだ。このため、同社は人材育成を目的として開発会社を設立し、社員を出向させて他社のシステム開発を通じてシステム構築ができる社員を増やそうとしている。こうした社員が増えた時、同社はまたレベルが一段上の発展が期待できるのではないだろうか。