IT経営コーディネート 企業活性化にITCの妙手

<「IT経営」コーディネート 企業活性化にITCの妙手>93.「IT経営力大賞」シリーズ・第二弾 耶麻印刷(上)

2009/05/25 16:40

週刊BCN 2009年05月25日vol.1285掲載

ITで新サービスを創出

 福島県喜多方市で印刷業を営む耶麻印刷。1948年の設立で、創業当時は喜多方地方の地域新聞社だったが、全国紙の地方欄に押されて尻すぼみになり、現在はポスターや販促物などの印刷事業に軸足を移している。

 代表取締役の芳賀裕示氏はIT技術に詳しいわけではないが、事業拡大のツールとしてITを古くから積極的に活用してきた人物だ。90年代中盤、喜多方市にISPが立ち上がると、すぐさま「あいづお役立ちねっと」というWebサイトを開設。フリーペーパーのWeb版のような位置づけで、地域の有益情報を発信して閲覧者を集め、通販サイトなどの広告で利益を得るビジネスを始めた。

 メールマガジンも発行し、最も多い時で配信先は2万人を超えたという。「個人情報保護法」の施行により、集めた個人情報を活用できなくなったことや、競合が増えたことから現在は傍流に押しやられたが、「それでも当時はかなりヒットした」と芳賀代表取締役は振り返る。

 2000年には、インターネットを営業窓口に位置づけて、自社ホームページにオンラインで印刷物の注文を受け付ける仕組みを設けた。「送料込みで片面カラー印刷500枚7500円」という低価格を武器にし、ネットで全国から注文を受け付けた。この戦略が奏功し、全国から注文が舞い込むようになったという。芳賀氏は、ITを事業拡大の有力ツールと位置づけ、先端技術情報を収集し、いち早く事業拡大に活用しているのだ。

 これまで自ら情報収集し、1人でIT戦略を立案・遂行してきた芳賀氏が、ITコーディネータ(ITC)の山口康雄氏のサポートを受けるようになったのは、今から3~4年前。ネット注文の仕組みを始めて5年ほどが経過した時期だった。

 最初はネットで安価に印刷物を発注できるWebサイトが少なかったことから評価されたが、競合が増えたことで徐々にユーザーを獲得しにくい状況になってきていた。IT活用による新たなサービス立案や、Webサイトの改善計画を模索していたなか、山口ITCに出会った。山口ITCが講師を務めた「ホームページ有効活用」をテーマとした講演会に芳賀氏が参加。その内容に感銘を受けて、山口ITCにサポートを依頼したのだ。

 芳賀氏がITCのサポートを受けたのは山口氏が初めてだ。山口氏は「SWAT分析」から開始。耶麻印刷の強みと弱み、IT活用状況を分析して、どんなIT強化施策が必要かを検討した。そしてまず動き出したのが、ユーザーを獲得しにくくなっていたホームページの改善だった。試行錯誤の末、「Google」と「Yahoo! Japan」に「激安カラー印刷」と入力すると、どちらにも検索結果の最上位に掲載されるような仕掛けを施した。
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