「地域活性化に地場ITベンダーの果たす役割」とは何か。創刊1300号を数えた「週刊BCN」では、このテーマを掲げて全国巡回取材を敢行し、47都道府県の有力ベンダーの代表者からナマの声を拾った。最終回となる第4弾をお届けする。
地域経済格差が広がるなかで、地場の中堅・中小企業を活性化させる“源流”となるのはITであることを確信している。地場ITベンダーが地域活性化で果たすべき役割はますます大きくなっている。はたして各社は、この重要な役割にどう応えているのか──。
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| 堀 信一 社長 |
売報通信関連ベンダーを主要顧客としているほか、パッケージ製品やSIなども事業として手がけている。
昨年度(2009年6月期)は、中期計画の最終年度だったにもかかわらず、リーマン・ショックの影響で、計画した業績が未達という厳しい状況に陥った。今年度に業績回復を果たすために、昨年末からさまざまな策を講じている。具体的には、米国子会社を解散したり、4社あった子会社を2社に統合した。当社単体では、役員クラスが積極的に顧客に対して営業に回ることや、社内で経費削減を徹底的に実施した。マイナス要因を解決したことで、昨年度は何とか赤字を防ぐことができた。とくに、営業強化に関しては今年度の時点で効果が出てきている。第1四半期は、単体で予算をクリアできる見通しだ。ただ、連結では子会社が苦戦していることから、どのように収益を伸ばしていくかを考えていかなければならない。
子会社を含めてリソースが限られていることからも、当面は、できるだけ大規模な案件を獲得することが利益を確保するカギとなる。需要がきちんと見込める市場を見極め、積極的に攻めていかなければならないと実感している。顧客ニーズの把握も重要だ。システムのリプレースを進めたいが、今ある資産を残したいという企業が多い。これは底辺の広いニーズだ。コスト面からも、マイグレーション再構築ビジネスの拡大機運が高まっている。この種のビジネスは、当社の得意分野であることから確実に案件獲得につなげる。
SaaSなどクラウドサービスについては、アプリケーション提供で事業化することを検討している。ただ現段階では、どのようなアプリケーションが最適なのかを思案中で、子会社がもつソフトを含めて検討を進めていく。
代表者…堀信一 代表取締役社長 売上高…193億6200万円 利益率…4億4800万円(経常利益) 主要顧客…電機/情報通信 ハードとソフトの比率…ソフトが10割を占める 県内・県外比率…1.5:8.5 |
今年度は、新中期計画の初年度として必ず計画通りに進める。売上高については、先行き不透明な市況感が続いていることから昨年度並みを見込んでいるが、利益は確実に増やしていく。