「地域活性化に地場ITベンダーの果たす役割」とは何か。創刊1300号を数えた「週刊BCN」では、このテーマを掲げて全国巡回取材を敢行し、47都道府県の有力ベンダーの代表者からナマの声を拾った。最終回となる第4弾をお届けする。
地域経済格差が広がるなかで、地場の中堅・中小企業を活性化させる“源流”となるのはITであることを確信している。地場ITベンダーが地域活性化で果たすべき役割はますます大きくなっている。はたして各社は、この重要な役割にどう応えているのか──。
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幸田 隆 常務取締役 営業統括本部長 |
沖縄県内の地方自治体をメイン顧客とし、民需に対しても製品・サービスを提供している。県外では、自社開発ソフトを全国網で販売している。
今年度(2010年3月期)は、順調に推移している。これまで予算比10%減程度だったが、今年度上期は計画通りの見通しが立っている。もちろん、前年同期よりも伸びることを見込んでいる。
これは、2年ほど前に開発した販売や在庫などを管理する自社ソフト「WebNavi」シリーズの販売が好調だからだ。九州のベンダーと共同開発したもので、お互いのメリットが一致したことから商品化した。今では、全国に販売網が広がっている。また、グループウェアである「WebMagic」が、民需に加えて文教市場でユーザーが増えている。自社ソフトの知名度が向上していることが、業績伸長の要因だ。
業績が伸びているからといって、現状に満足しているわけではない。2020年度までに売上100億円規模を目指す方針を掲げた。現状が60億円規模だから、思い切った数字かもしれない。しかし、やる気が高まる目標をもたなければ、生き残っていけないと実感している。
売り上げを伸ばすトリガーになるのは、新しい製品・サービスの創出だ。今、保有するデータセンターを生かすために、クラウドサービスに本格着手することを模索している。自治体関連では、沖縄県庁からアウトソーシングを受注した実績があり、このビジネスモデルを民需にも広げる。現在のところ、実際に3社から案件を獲得している。ユーザー企業のなかには、経費削減を目的にアウトソーシングを検討しているケースがある。ユーザーへの提案を、さらに増やしていく考えだ。また、自社開発ソフトのSaaS化も進める。
代表者…山根健次郎 代表取締役社長 売上高…60億円 利益率…5300万円(経常利益) 主要顧客…地方自治体 ハードとソフトの比率…5:5 県内・県外比率…9:1 |
当社は、製品を販売するだけの「箱売り」から、サービス事業を核とする「ソリューションプロバイダ」への変貌を目指している。アウトソーシング事業を手始めにクラウドサービスを本格化させることは、当社がひと皮むけるために重要な取り組みと考えている。