2009年から10年にかけて、国内大手ITベンダーによる中堅・中小企業(SMB)市場を意識したグループ再編が相次いだ。NECネクサソリューションズは、東名阪の中堅企業(年商100億円~500億円)を主なターゲットにして、NECとの役割分担を明確にした。富士通ビジネスシステム(現・富士通マーケティング)は、年商300億円以下の民間企業、人口30万人以下の自治体、病床数300以下の医療機関を主なターゲットにして、社名も富士通マーケティング(FJM)に変更した。富士通との役割分担を明確にしたうえで、「GLOVIA smart」などの中堅向けプロダクトも富士通からFJMへと移管している。

 こうした再編の背景には、親会社と子会社の間で攻めるべきターゲットの区分けが明確でなかったという反省がある。NECネクサソリューションズや旧FJBが中堅上位企業(年商300ー500億円)を攻める一方、NECや富士通も同じセグメントにアプローチしていたために、いわば身内同士での競合状態が発生していた。こうした状況を解消し、各企業グループがSMB向けのソリューションを明確に打ち出せば、ユーザー企業や販社・SIerにもプラスの要素が大きくなるはずだ。では、実際にユーザー企業や販社・SIerは、この動きをどうみているのだろうか?

 図1は、年商500億円未満の中堅・中小ユーザー企業に、「国内大手ベンダーの中堅・中小向けグループ企業からIT活用提案があった時の対応」をたずねた結果である。
 

図1 国内大手ベンダーの中堅・中小向けグループ企業からIT活用提案があった時の対応

 「新たなパートナーとして採用・検討したい」が36.8%、「新たなパートナーとなる可能性は低い」が51.9%となっている。これは、なかなか評価が難しい結果といえる。SMBは、既存の販社・SIerへの依存度が高い。それを踏まえると、新たなパートナーとして採用・検討するという回答が36.8%に達していることは、SMBに向けた販路に変化を起こす可能性がゼロではないことを示している。その一方で、NECと富士通というSMBに対してオフコン時代から強い影響力を持つ2社による取り組みでさえも、約半数となる51.9%を新たに獲得することは難しいという見方もできる。

 もう少し詳しくみてみることにしよう。図2は、上記と同じユーザー企業に対して、「国内大手ベンダーのSMB向けグループ企業からのIT活用提案におけるメリット」をたずねた結果である。「大手ベンダーのグループ企業であることの安心感・信頼感」「トータルでの提案」といった「規模感をメリットと感じるユーザー企業が多いことがわかる。
 

図2 国内大手ベンダーの中堅・中小向けグループ企業からのIT活用提案におけるメリット(三つまで)

 一方、デメリットをたずねたものが図3だ。「自社の業態/業務について十分理解してもらえない」が最も多く、「従来よりも割高になる」「特定ベンダへの依存度が上がる」といった項目が続いている。「既存の販社/SIerとの使い分けが難しい」が少ない点も考慮に入れると、ユーザー企業の多くは国内大手ベンダーのグループ企業と既存の販社/SIerを使い分けるという形態をあまり想定していないようだ。情報システム担当/部門の人材が少ない中堅・中小企業にとっては、パートナーの適切な使い分けは確かに敷居が高いといえる。
 

図3 国内大手ベンダーの中堅・中小向けグループ企業からのIT活用提案におけるデメリット(三つまで)

 この結果を踏まえると、「安心感があって、トータルでの提案に期待したいが、自社に対する理解が足りない状態のまま特定ベンダーへの依存が上がり、その結果コスト高になるような事態は避けたい」というのがSMBの本音といっていいだろう。

 ここで最も大きな課題となるのは、「自社に対する理解が足りない」というところだろう。中堅・中小企業は自社の情報システムはもちろん、業態/業務を外部に説明するのが非常に苦手だ。国内大手ベンダの中堅・中小向けグループ企業としては、時間をかけてユーザー企業を理解するように努めるか、すでに理解のある既存の販社/SIerとの協力関係を築く必要が出てくると考えられる。

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