愛媛県東温市の遠赤青汁は、社内ITシステムを改善したり、ネットショップを強化したりしてきた。同社の高岡照海社長が抱いている夢を実現するためというのが、ITシステム整備の動機となっている。遠赤青汁が製造・販売している健康食品や化粧品を本格的に海外市場で展開することが高岡社長の夢である。同社は、香港やシンガポールに拠点を構える日本の大手百貨店を通じて、すでに製品の一部を海外で販売している。今後、とくにネットショップを活用して、海外展開を拡大していく構想をもっている。
高岡社長は、「ネットショップのサイトで、当社がどのようにケールを栽培し、原料を加工して製品を作っているかの情報を発信して、販売の拡大につなげたい」と計画を語る。インターネットを通じて、アジアやヨーロッパ、米国など、全世界の消費者に遠赤青汁の製品をアピールする戦略だ。「アジアの購買力が急速に高まっているし、健康食品関連に一定の輸入制限があったEUでも規制が緩和されて当社製品が販売できるようになった。いよいよインターネットを販売チャネルとして有効に活用できる条件が整ってきた」(高岡社長)と説明する。
遠赤青汁は、ネットショップだけでなく、海外各国の販売代理店と提携して、デパートなどリアル店舗での販売を拡大していく。高岡社長は、「アジアの富裕層は、価格を気にせず、健康にいいことがわかった製品なら一度に大量に買う傾向がある」と市場の有望性に期待している。遠赤青汁で社内ITコーディネータ(ITC)を務める渡部一恵CIO・インターネット担当は、海外市場攻略をにらんで、「今後、社内で海外展開の関連情報を共有する大型のデータベース(DB)を作る必要がある」とみている。
渡部ITCは、「海外展開の本格化にあたって、さまざまな場面で社長の的確な判断が欠かせない。そこで、DBなどのかたちでITを駆使して、販売先とのつき合いや製品の提案の方法などに関して、社長の判断に役立つ材料づくりに力を入れていきたい」と語る。高岡社長は、「ITの整備によって国内・海外ともに本格的に事業展開を着手できる体制ができつつある。今後はさらに人材育成や社内のコミュニケーションなど人づくりを充実していって、会社全体で売り上げアップを目指したい」という。(ゼンフ ミシャ)

健康食品が海外で人気を集める