視点

実力をつけてきた“地方発”のビジネスプラン

2011/12/15 16:41

週刊BCN 2011年12月12日vol.1411掲載

 11月24日の夕方、岐阜ソフトピアジャパンのモバイル・カフェという、なんでもできる(あえて「多目的」とはいわない)おしゃれなフリースペースで、「ICT Mentor Platform ビジネスプラン発表会 in ソフトピアジャパン」というイベントを開催した。最近よくみられるビジネスプランコンテストの地方予選会といわれればその通りなのだが、個人的には、しみじみと、やっとここまで来たかという思いがして、うれしかった。

 ソフトピアは、昔からベンチャー支援をうたい文句に、いろいろなイベントを開いてきた。つい最近までは、東京からICT関連の著名人を招待して講演をお願いし、時代の最先端の情報を提供してもらって世の中の動向を知る、というようなイベントが主流で、それに満足していたものだった。

 しかし、スマートフォン関連の事業で多くの実績を積むようになると、そこで生まれたソフトピアの自信と実力は、技術やビジネス関連の知識の吸収と発散のパターンから徐々に脱皮しはじめた。具体的には、今回のイベントに参加した「トビラシステムズ」のように、研修に参加する場合でも、単に最新情報を吸収するだけではなく、自分の開発案件を十分に意識して、その問題解決に役立たないかぎり研修に参加する価値がないというように、参加者自身の意識が変わってきた。またアンドロイド関連の勉強会のように、仲間が集まってコミュニティをつくり、自らが抱える問題を自分たちで知恵を出し合って解決する会合も増えてきた。テーマごとにコミュニティを形成し、そこで自主的な勉強会を開いて、たまには泊り込んで開発作業をすることが恒例イベント化するようになった。あるいはコワーキング(共働ワークスタイル)の社会実験では、異なったテーマをもったベンチャー企業が集まり、新しい共通の事業案件をつくり出す動きも芽生えてきた。

 このようなユニークな場での多様な経験から生まれた成果を、6社のベンチャー企業が、今回のイベント会場に持ち込み、著名なメンターの皆さんと丁々発止のやり取りを行った。当然ながら、かなり厳しくやり込められたが、その厳しさに果敢に挑戦して立ち向かっていくという光景が随所にみられた。このような関係は、岐阜のベンチャーにも、またメンターの皆さんにも、きっと新鮮であっただろうと思う。地道に岐阜から発信するパワーを発揮することができたイベントであった。
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