AWS(Amazon Web Services)のユーザー会、Enterprise JAWS-UG(E-JAWS)は、会の設計がとてもユニークだ。入会に審査があって、AWSのユーザー企業であっても入会できるとは限らない。さらに、会員になっても一社2名までという制限がある。まさに少数精鋭のユーザー会だ。
質の高いコミュニティを目指す
AWSがサービスを開始したのが2006年。以来、クラウドサービスのトップベンダーとして、多くのユーザーを獲得してきた。国内でも2万アカウント超のユーザーを抱えるだけに、ユーザー会も多くの企業が参加して賑わっているのかと思いきや、2014年2月時点で約30社と、意外なほど少ない。発足後間もないこともあるが、理由は入会条件にある。
E-JAWSの玉川憲事務局長は、入会の条件を「まず、AWSを使っていること。そのうえで、ITを活用して経営に貢献するという気概のある企業であること」と教えてくれた。入会には審査があり、事務局による面接もある。
入会条件を厳しくしているのは、質の高いコミュニティを目指しているから。「先進ユーザーが集まって、体験や知見を共有できるようにしたい。多くのユーザーは知見を公開したがらないが、ユーザー同士の閉じた世界であれば共有しやすい。あくまでもギブ・アンド・テイクの場で、テイクのみにならないようにしている」(玉川事務局長)。質の高いコミュニティを目指していることから、会員数についても40社程度に抑える予定だ。
E-JAWSに参加できる「人」にも制約がある。基本はビジネス部門から1名、情報システム部門から1名。しかも、部門の責任者か実務担当者が対象だ。これは、積極的な情報提供ができる立場と知見をもった人でなければ、ディスカッションが成立しないから。「多くの会員を集めるだけでは、いい会にならない。エネルギーレベルの高いユーザーが集まってこそ、いいユーザー会になる」(玉川事務局長)。
年4回の総会が活動のベース
活動は、年4回の開催を予定している総会がベース。総会では事例発表もあるが、基本的には参加者同士のディスカッションが主な目的だ。この先、技術分科会や業種分科会などを設置して、役割やファンクションごとの活動も計画している。
総会の運営やE-JAWSの活動方針などは、主要メンバーで構成されたコミッティが検討・決定する。コミッティの定員は、現在のところ5名。会長は、コミッティのメンバーから選出される。
閉じた世界で活動しているE-JAWSだが、外部への情報発信活動も行っている。例えば、日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)が開催したセミナー「JUAS FUTURE ASPECT 2014」では、「エンタープライズITのクラウド移行の勘所」と題して、コミッティメンバーによるパネルディスカッションを実施した。
E-JAWSは、少数精鋭というユニークな方針で活動してく方針だが、長く活動していくにつれて、組織としてのマンネリ化の心配が出てくるはず。それをどう乗り越えていくのか。その点でも要注目のユーザー会だ。

Enterprise JAWS-UG(E-JAWS)の玉川 憲事務局長
【概要(2014年2月現在)】
入会:面接などの審査のうえで決定
年会費:なし
入会金:なし
主な活動:総会、セミナー
会報誌:なし
会員企業数:約30団体
発足:2013年