「重要なコミュニケーションは対面でなければならない」という固定観念が次第に薄れてきている。遠隔コミュニケーションの技術はビジネスの現場で広く使われるだけでなく、社会の問題解決にもつながると期待されており、ブイキューブの協業先も多彩に広がりつつある。(日高彰)
ブイキューブでは、ウェブ会議システムを「ビジュアルコミュニケーション」のソリューションへと発展させることを成長戦略の主軸としている。例えば、規制緩和の動きがある不動産業界。従来、賃貸契約時には「対面」での重要事項説明が必要だったが、これをオンラインでも可能にする方向で制度改正が検討されており、現在行われている遠隔説明の実証実験に、ブイキューブのシステムが利用されている。同様に、金融や医療などの分野でも、規制緩和によってビジュアルコミュニケーション技術を応用できる可能性が広がりつつある。
教育も需要が拡大している分野だ。1月13日には、ベネッセコーポレーション(ベネッセ)の通信教育事業へのシステム提供を発表。海外の講師と国内の児童がオンラインで会話できる英語教育コースで採用されている。ベネッセでは、オンライン教育システムの基盤要素としてビジュアルコミュニケーションを採り入れており、将来的には通信教育全般で双方向の映像が活用されていく見込みだ。
このように、各業界のサービス事業者と協業しながら、その業界に特化したソリューションを開発していくことで、ビジュアルコミュニケーションの適用分野を広げていく。ウェブ会議機能をもつコラボレーションツールは、マイクロソフトやグーグルといった巨大ベンダーも手がけてはいるが、直接競合することはないという。マルチデバイス対応、双方向での対話・共同作業機能、安定した接続性といった品質や機能と、「商慣習も含めた業界ごとのニーズに対応できるカスタマイズ性」(間下直晃社長)をあわせもつ製品はほとんど存在しないからだ。
そのほか、販売戦略に関する最近の強化点としては、パートナー支援策の刷新も挙げられる。セールスフォース・ドットコムのプラットフォームをフル活用したパートナーポータルサイトを構築し、試用アカウントやデモ機材の依頼などのフローをオンライン化したほか、見積もり作成機能、営業活動のパイプライン管理機能、提案書や販促資料のライブラリなど、パートナーが必要とする情報や機能を集約した。また、最終的な売り上げだけでなく、案件発生や提案といった活動もパートナーの業績としてカウントし、アクティビティに応じて共同マーケティング支援などの還元を行う。
専用機型のテレビ会議システム市場がほぼ横ばいになっているのに対し、ブイキューブの手がけるウェブ会議市場は導入件数、導入先業界とも引き続き成長している。最近ではM&Aも積極的に推進しており、事業の規模は急速に拡大する見込みだ。

昨年運用を開始した新たなパートナーポータル