マーリンズのイチロー外野手が、メジャー3000安打という節目を迎えようとしている。人は誰しも、節目を迎えると一息つきたくなる。雲の上の存在であるイチロー外野手には無関係かもしれないが、球団の方針など、本人に関係のないところで一息ムードが広がるに違いない。3000安打以降のイチロー外野手が心配だ。とはいえ、ファンはまだまだイチロー外野手の活躍を見たいはず。ピート・ローズのメジャー通算最多安打数が、はるかかなたの先で待っている。背番号51の快進撃を望む。
Amazon Web Services(AWS)が51回目の値下げを発表したのは、今年の1月5日。以降は値下げの発表がない。2006年から年平均5回のペースで値下げを実施してきたかと思うと、一段落した印象だ。サービスインからの10年が節目となり、一息ついたということか。AWSの競合他社も、目立った値下げ発表をしなくなった。価格競争よりも、サービスの内容で勝負する時代なのかもしれない。価格面では、もはや成熟市場ということだ。
パブリッククラウドの市場は相変わらず拡大基調だが、同様にプライベートクラウドも拡大している。プライベートクラウドはオンプレミスの延長線上にあり、パブリッククラウドとは本質的に異なる。クラウドのメリットを享受するには、パブリッククラウドを採用するのが本来の姿だが、システムを社外に置くことに対しては、相変わらず根強い抵抗があるのだろう。
オンプレミスが根強く支持されるのは、パブリッククラウドへと置き換えるほどのコストメリットがないということも考えられる。オンプレミスと共存できる範囲で、パブリッククラウドの価格が落ち着いたといえないだろうか。パブリッククラウドに切り替えたことで、コスト削減に成功した事例はたくさんある。一方で、オンプレミス環境の刷新で、コスト削減に成功した事例もたくさんある。
そして、もう一つ。オンプレミスからパブリッククラウドへの移行はおもしろくない。単なるリプレースだからだ。パブリッククラウドは、既存の基幹システムなどとは違う、イノベーティブな分野でこそ、威力を発揮する。必要なのは、価格競争よりも、機能競争である。パブリッククラウドには、節目がまったく想像できない世界の創造を期待したい。
『週刊BCN』編集長 畔上文昭
略歴
畔上 文昭(あぜがみ ふみあき)

1967年9月生まれ。金融系システムエンジニアを約7年務めて、出版業界に。月刊ITセレクト(中央公論新社発行)、月刊e・Gov(IDGジャパン発行)、月刊CIO Magazine(IDGジャパン発行)の編集長を歴任。2015年2月より現職。著書に「電子自治体の○と×」(技報堂出版)。趣味はマラソン。自己ベストは、3時間12分31秒(2014年12月)。