既存ビジネスモデルの破壊か、進化か? ブロックチェーンの革新
<既存ビジネスモデルの破壊か、進化か? ブロックチェーンの革新>(2)業界団体を立ち上げ 市場形成を強く後押し
2016/06/23 16:04
週刊BCN 2016年06月20日vol.1633掲載
ブロックチェーンに関するビジネスはまだまだ黎明期にあり、市場をどう立ち上げるかは関係者共通の課題だ。インフォテリアは、ブロックチェーン専門のスタートアップらと連携して国内初のブロックチェーン業界団体を立ち上げ、その動きを主導しようとしている。(本多和幸)
インフォテリアやテックビューロはブロックチェーンについて、新たなサービスを生み出す技術基盤としてだけでなく、既存のシステムを低コストで代替できる技術としても市場に訴求しようとしている。しかし、新技術で既存技術を塗り替えていこうとすれば、抵抗も生まれる。事実、大手SIer各社は、ブロックチェーンのそうした使い方に否定的、もしくは慎重な見解を示しているケースが多い。
インフォテリアの平野洋一郎社長も、「少なくとも当面は、製造業や流通業などビジネス革新とセットで、新しいシステムをどんどんつくっていく業界で先に普及が進んでいくのは間違いない」とみている。一方で、「既存システムの置き換えについても、リプレースのタイミングになれば、ここにブロックチェーンを使えばメリットが大きいというような議論は出てくるはず」だという。「当社がASTERIAを出した時も、工数が減ってしまうということでSIerには相当嫌がられたが、いまでは相当数のSIerが代理店になってくれていて、彼らは売り上げが減っても利益が増えるようなビジネスモデルにシフトしている。ブロックチェーンも同じで、SIerはこれをいかに活用してビジネスモデルを変えていくか考えるのが賢いやり方だと思う」(平野社長)。
まずは専門企業が市場に価値を示す
では、市場の立ち上げに向けて誰がイニシアティブを取るのか。平野社長は、「私たちのような、ブロックチェーンに関するツールやブロックチェーン技術そのものを提供するベンダーが主体となって、その価値を実証したり、事例をつくったりして価値の実体を市場にみせていくしかない」と話す。
一方で、「各社が自分たちの成果をアピールしているだけでは、ただの宣伝だろうとみられてしまう」とも指摘する。そこで平野社長は、「ブロックチェーンそのものの進化を追求するとともに啓発を進め、普及を図り、この領域への投資を推進していくニュートラルな業界団体」の設立に動いた。平野社長が理事長を務める国内初のブロックチェーン業界団体「ブロックチェーン推進協会(Blockchain Collaborative Consortium、BCCC)」が、今年4月に発足したのだ。副理事長の一人には、テックビューロの朝山貴生社長が就いた。発起メンバーは34社だが、5月24日の時点で、早くも53社まで会員が増えている。平野社長は、「日本は世界に比べてブロックチェーンの技術開発で後れを取っているわけでもないのに、その実績や技術情報が共有されていない。こうした状況を打破するために、ブロックチェーンの普及啓発や適用領域の拡大に向けた活動を行っていく」とコメントしており、市場形成の主導的な役割を果たしていく考えだ。
ブロックチェーンに関するビジネスはまだまだ黎明期にあり、市場をどう立ち上げるかは関係者共通の課題だ。インフォテリアは、ブロックチェーン専門のスタートアップらと連携して国内初のブロックチェーン業界団体を立ち上げ、その動きを主導しようとしている。(本多和幸)
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