視点
「ブラザーフッド」が引き起こす女性差別
2016/06/30 16:41
週刊BCN 2016年06月27日vol.1634掲載
「シリコンバレーと女性」は、ここ数年注目されるトピックだ。シリコンバレーは実力主義という印象が一般的には強いだろうが、驚くような男尊女卑文化が職場の日常を牛耳っていると、あちこちで明らかになっているからだ。数少ない女性プログラマが男性プログラマらに中傷された話、同等の能力があっても女性の給料のほうが安く設定されているという話。後者については、シリコンバレー企業では同職の男女の給料に3%の差があるという調査報告がごく最近出ている(ハイアード調べ)。しかも、この差は会社が成長すればするほど大きくなるという。
シリコンバレーでパワーをもつベンチャー・キャピタリストの世界でも女性外しがあることは、有力ベンチャー・キャピタルCPKBで投資パートナー職にあったエレン・パオ氏が2012年、同社を相手に訴訟を起こし、知られるところとなった。同氏によると、「女がいるとノリが悪くなる」と、重要な集まりに声をかけられなかったという。
私が、シリコンバレーにやってきた20年ほど前は、もっと女性が珍しかった。ある大手IT企業へ取材に行った際、普通の東京風の格好(スカートとちょっとしゃれたジャケット)の私を一見した相手のエンジニアは、実に奇妙な表情をした。彼らの文化には華美すぎたのだ。
当時、シリコンバレーでは制服のように誰もが青いシャツとベージュのチノパンだった。ヒューレット・パッカードの女性CEOとなったメグ・ホイットマンもそんな格好をしていたものだ。その頃に比べると、この地も女性に慣れ、女性も、好きなファッションを身につけている。
だが、それでもテクノロジー業界では男性の数がずっと多いことが差別を否応にも温存させる。男性プログラマが「ブログラマー」と呼ばれるのは、男の仲間意識(ブラザーフッド)で結びつけられているからだ。仲間意識自体は悪くないが、場を間違え度を越せば弊害が出る。
ただ、最近は先駆者のおかげで、差別的な扱いについて女性が声を上げやすくなった。また、女性の横のつながりが強くなり、集団としての存在感も大きくなっている。日本風にいえばリケジョ、つまりテクノロジーに強い女性を生むための教育にも注意が向けられている。
新しいテクノロジー界で、男女問題はようやく解決の道を歩み始めたところといえる。
「シリコンバレーと女性」は、ここ数年注目されるトピックだ。シリコンバレーは実力主義という印象が一般的には強いだろうが、驚くような男尊女卑文化が職場の日常を牛耳っていると、あちこちで明らかになっているからだ。数少ない女性プログラマが男性プログラマらに中傷された話、同等の能力があっても女性の給料のほうが安く設定されているという話。後者については、シリコンバレー企業では同職の男女の給料に3%の差があるという調査報告がごく最近出ている(ハイアード調べ)。しかも、この差は会社が成長すればするほど大きくなるという。
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