既存ビジネスモデルの破壊か、進化か? ブロックチェーンの革新
<既存ビジネスモデルの破壊か、進化か? ブロックチェーンの革新>(3)国内初のプライベートブロックチェーン
2016/07/07 16:04
週刊BCN 2016年07月04日vol.1635掲載
インフォテリアと資本・業務提携関係にあり、オープンソースのブロックチェーン「NEM」をベースに、国産としては初のプライベート・ブロックチェーン「mijin」を開発・提供しているのがテックビューロだ。ブロックチェーンのコア技術そのものを提供する数少ない国産ベンダーの一社として、市場形成に取り組む。(本多和幸)
テックビューロの朝山貴生社長は、mijinの開発背景について、次のように説明する。「従来のクライアント/サーバー型のシステムは、100%の稼働率を目指して巨大なサーバーを構築し、電源、回線、機材など、すべての冗長化が必須で、事業が拡大すればコストは膨張する一方だった。そうした課題を解決するために、消せない、改ざんできない、盗めない、誰にも止められないシステムを低コストで実現するブロックチェーン・テクノロジーを、誰もが簡単に利用できるように開発したのがmijinだ。ただし、ビットコインのようなパブリックなブロックチェーンは、常にインターネット上にさらされていて、いろいろな制約があることも確かで、パフォーマンスの限界も低い。企業のシステムに適用するには、プライベートな環境で使えるようにしなければならないと考えた」。
同社は、mijinによって「あらゆるインフラのコスト削減とセキュリティ向上、そしてゼロダウンタイムの実現に貢献する」とともに、具体的な数値目標として、「2018年までに金融機関のインフラコストを10分の1未満に削減すること」を掲げている。
勘定システムへの適用を実証
テックビューロは、目標の実現に向けて、さまざまなパートナーとの協業関係構築や、実証実験を積極的に進めている。前回までに紹介したインフォテリアとの資本・業務提携のほかにも、アララ(電子マネーサービスへのmijin導入)、オウケイウェイヴ(mijinを活用したユーザー認証パッケージ製品の開発)、フィスコ(ブロックチェーンを適用したマーケット情報配信システム開発)などと同様の提携関係を結んでおり、業務提携や共同実証実験などを含めるとさらにそのパートナリングの範囲は広がる。
取り組みのなかでも特筆すべきなのが、銀行の勘定系システムにmijinが使えるという評価を得た実証事例が出てきたことだ。住信SBIネット銀行が、野村総合研究所(NRI)やDragonfly Fintech(NEMのコアメンバーが経営の中核を成すシンガポールのフィンテック/ブロックチェーン企業)と共同で、既存の勘定システムをmijinを採用したブロックチェーンで代替することを想定した実証実験を始め、今年4月には、「銀行の勘定システムにブロックチェーンが適用できることを証明した」と発表した。
また6月には、インフォテリアと共同で、マイクロファイナンス機関の基幹システムの勘定データをmijinに移行することに成功し、その業務プロセスにmijinを適用できることを確認したとも発表している。こうした成果を国内のユーザー企業やIT市場がどう評価するのか、大いに注目される。
インフォテリアと資本・業務提携関係にあり、オープンソースのブロックチェーン「NEM」をベースに、国産としては初のプライベート・ブロックチェーン「mijin」を開発・提供しているのがテックビューロだ。ブロックチェーンのコア技術そのものを提供する数少ない国産ベンダーの一社として、市場形成に取り組む。(本多和幸)
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