汎用機時代の1968年に創業したシステムコンサルタント。IT業界の歴史とともに歩んできた独立系の老舗SIerだが、ITトレンドの一歩先を常に目指していることから、自らを“ベンチャー企業”と定義している。その精神が支えとなり、汎用機からのオープンシステム化の流れ、そしてクラウド化の進展といった時代の変化に対応してきた。グローバル人材の育成にも積極的で、インドにオフショア開発を担う現地法人を置き、社員の英語研修などもそこで行っている。
Company Data会社名 システムコンサルタント
所在地 東京都墨田区
資本金 3億2610万円
設立 1968年8月
社員数 301人
事業概要 システム開発、パッケージ開発・販売、グローバル人材育成
URL:http://www.ksc.co.jp/ バブル崩壊でパッケージ開発
データ入力業務やシステム運用業務からスタートしたシステムコンサルタントは、1975年にシステム開発業務を開始した。人材派遣などは行わず、元請けの開発案件で業績を伸ばした。当時は、汎用機で開発を行っていた。その後、90年代に入って、オープン系システムの開発やデータベース技術支援事業などを開始する。ただ、ちょうどその頃は、いわゆるバブル経済が崩壊したことで、同社が抱えていた案件が激減することになる。

小谷達人
常務取締役 「バブル崩壊を受けて、システム開発だけでは事業の継続が難しいと判断した。事業環境の変化に対応できる体制を目指し、パッケージ製品の開発に着手した」と小谷達人・常務取締役は当時を振り返る。その頃に開発したパッケージ製品がBIツールの「Excellent」「WebQuery」「FreeWay」であり、バージョンアップを毎年しながら現在も主力ソリューションとして提供している。また、ミドルウェア製品なども開発した。
システム開発以外の事業を展開したことで、その後のITバブル崩壊やリーマン・ショックにも、大きな影響を受けなかったという。
「当社は創業から48年目になるが、今もベンチャー企業。完全な独立系なので、誰も助けてくれない。ベンチャー企業の精神で、常にトレンドの一歩先を一生懸命に目指している」と、小谷常務はベンチャー企業であることを何度も強調している。創業期からこだわってきた“元請け”も、続けてきている。
現在は3回目の変革期
現在のシステムコンサルタントについて、小谷常務は「シスコン・インダストリー・3.0」と表現する。システムコンサルタント(略してシスコン)が、3回目の変革期にあるという意味だ。
「ドイツはインダストリ4.0で第四次産業革命としているが、当社の事業は今、3回目の変革期にあると考えている。1回目は、汎用機。これをどう活用していくかが創業期のテーマだった。2回目はオープンシステム。汎用機からオープンシステムへとインフラが変わっていくなかで、当社のビジネスも大きく舵を切った。そして、3回目が“業務プロセスをどう変えるか”。つまり、3回目はインフラではなく、クラウドやIoTなどをどのようにチェーンさせていくかという変革」。小谷常務は3回目の変革を“デジタルチェーン”と呼んでいる。
例えば、商品の注文がくる。その情報が工場に行って、生産し、出荷する。商品が顧客に届く。顧客の利用状況をフィードバックし、次の製品開発に生かす。この一連の流れがデジタルチェーンというわけだ。インダストリ4.0の考え方に近い。
「これからのシステム開発は、デジタルチェーン全体をサポートすることが求められる。クラウドかオンプレミスかというハード的な視点ではなく、顧客の業務改革にいかに貢献できるか。そこを意識して、システム開発を行っていく」。小谷常務は、縦割りの部門をつなぐところで、同社が培ってきたBIのノウハウが生きるとしている。また、システムコンサルタントは、ペーパーレスソリューションとして、電子公証サービスや電子契約支援サービスなども提供しており、これらもデジタルチェーンで活用していく考えだ。
インドでオフショア開発
システムコンサルタントは2005年、インドに現地法人を設立した。「顧客が海外に進出するようになり、グローバル人材として活躍できるエンジニアが必要になってくると考えた」と小谷常務。そのため、インド現地法人はオフショア開発を担う一方で、グローバル人材の育成機関としての顔ももつ。「新卒の社員研修は、3か月間、インドで行っている。また、海外研修事業として、グローバル人材の育成を望む企業の教育も請け負っている」という。
インド現地法人のオフィスは自社所有物で、日本庭園のほか、自家温泉もあるという日本人が快適に過ごせる環境になっている。ここを起点に世界に通用するエンジニアが育っている。