クラウドの採用ムードが地方に波及しつつある。当初は「動けば何でもいい」との認識でも、運用フェーズでクラウドのメリットを実感すると、口コミとなって広がっていく。青森と仙台を中心にクラウド事業を展開するヘプタゴンの立花拓也・代表取締役社長に聞いた。(畔上文昭)
東日本大震災後に起業

ヘプタゴン
立花拓也
代表取締役社長 データセンター(DC)に勤めていたというヘプタゴンの立花拓也社長。転職を考えていたときに東日本大震災が起きる。「首都圏への就職も考えていたが、震災があったため、東北のために何かしようと考えた。ちょうど、AWS(Amazon Web Services)が注目され始めていたので、クラウドに取り組んだ」と、立花社長は青森で起業した当時を振り返る。
都市部でクラウドが注目され始めた頃のため、青森ではクラウドに対する認識がまだ低い。そこで立花社長は、AWSのユーザーグループ「JAWS-UG青森」を立ち上げ、地域でのクラウドの認知度を上げる活動から始めた。
当初はAWSに興味がある人が集まる勉強会としてスタートしたJAWS-UG青森だが、最近ではユーザー企業の参加が増えているという。「今年に入ってから、JAWS-UG青森のメンバーが増えてきている。それも、実際にAWSを活用しているというユーザーが参加するようになった」と立花社長。青森におけるAWSのユーザーが拡大してきたというわけだ。
クラウドで地域の課題を解消
青森におけるクラウドの普及状況について、立花社長は「感度の高い企業が取り組んでいる。先進性は、東京の企業とそん色ない」と感じている。ただ、中間層がなく、クラウドに取り組む企業と無関心の企業で二極化しているという。
無関心の企業では、クラウドを否定するのではなく、「動けば何でもいい」とするのが現状とのこと。そのため、クラウドを意識させずにシステムを構築し、運用フェーズでメリットを実感してもらうことを考えている。実際、サーバーのメンテナンスが不要など、導入後の評価は高いという。
今後については、「IoTに期待している。地方では、農業や介護などで人手不足になっている。IoTでその状況を変えられるのではないか」と立花社長。また、「地方の人は課題があっても、がまんして外に知らせようとしない。だから、地域の課題は地元にいないと把握できない」として、今後も青森と仙台を中心に、クラウドを駆使して社会に貢献していく考えだ。