CAC Holdingsグループ(CAC-HDグループ)は、AI(人工知能)と社会性ロボティクスの領域でオープンイノベーションを試みている。同社は、欧米のスタートアップ企業を中心に、直近だけで5社ほどに一部出資を含む協業を推進。先進的な技術をいち早く国内に持ち込み、国内のユーザーや同業他社のアイデア、助力を得ながら、これまでになかった新しい商材の研究開発に取り組んでいる。
出資・協業先は、例えばソーシャルロボット開発の米Jibo(ジーボ)や、同じく米国スタートアップ企業で感情(アフェクティブ)コンピューティングを専門とするAffectiva(アフェクティバ)など。とりわけAIの一種である感情コンピューティングは、CAC-HDグループが力を入れている社会性ロボティクスの領域で「欠かせない技術要素」(CACの池谷浩二・取締役イノベーションカンパニー長)であり、これらの技術をビジネスに結びつけるためのイノベーションが求められている。

シーエーシー池谷浩二取締役(右)と鈴木貴博執行役員
アフェクティバの感情コンピューティングに関しては、まずは超臨場感コミュニケーション産学官フォーラム(URCF、廣瀬通孝会長=東京大学教授)で、この12月にも活用アイデアを募る「アイデアソン」を国内で初めて開催。同フォーラムは、映像や音響、触覚などの五感情報をもちいた超臨場感コミュニケーション技術を研究しており、関係する研究者や国内スタートアップ企業に参加してもらうことで、ビジネス化へのヒントを探るのが狙いだ。URCFの廣瀬会長にはCAC-HDの社外取締役を兼務してもらうなど、CAC-HDグループとして最新のコミュニケーション技術を貪欲に取り込んでいく構えをみせている。
また、今年6月には本社オフィス1階フロアにオープンイノベーションを促進する「イノベーションスペース」を開設。今はまだグループ会社のみで利用しているが、段階的に「ビジネスパートナーとの協業の場として活用していきたい」(CACの鈴木貴博・執行役員AI&ロボティクスビジネス部長)と話す。とはいえ、実際にイノベーションを実践するには越えなければならない壁がいくつか存在する。(つづく)

オープンイノベーションを促進する「イノベーションスペース」