既存ビジネスモデルの破壊か、進化か? ブロックチェーンの革新
<既存ビジネスモデルの破壊か、進化か? ブロックチェーンの革新>(23)三大メガバンクが銀行間振り込みで実証実験(1)
2016/12/21 16:04
週刊BCN 2016年12月12日vol.1657掲載
2016年は、ブロックチェーンの業界団体が複数発足するとともに、実証実験プロジェクトも数多く立ち上がった。まさにブロックチェーン元年ともいえそうだが、11月30日には非常にインパクトの大きい実証実験の報告書が公表された。(取材・文/本多和幸)
みずほフィナンシャルグループ、三井住友銀行、三菱UFJフィナンシャル・グループという三大メガバンクと、デロイトトーマツグループで構成されるブロックチェーン研究会は、国内の銀行間振込業務へのブロックチェーン活用の実証実験を行い、報告書をまとめた。
研究会は、金融システムへのブロックチェーンの活用可能範囲の特定と実用化に向けた方向性を定めることを目的に、昨年12月に4者が設立。報告書では、とくに欧米の金融機関が、ブロックチェーンの実用化やデファクトスタンダード獲得に向け活発な動きをみせていることを指摘。「ブロックチェーンを日本が今後も継続的に成長するための一つの技術的な要素として捉え、国内金融機関がその技術の礎を築くことに貢献するとともに、欧米金融機関に比肩する水準まで技術レベルを高めていくこと」を最終目標として掲げた。
コンセンサスアルゴリズムの特徴を整理してPBFTを採用
ブロックチェーンの特徴に関しては、「P2P型の分散データベースであり、正式な取引の承認を得るための合意形成(コンセンサス)アルゴリズムを備えている」と定義。主要なコンセンサスアルゴリズムとして、「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」、「プルーフ・オブ・ステーク(PoS)」、「プルーフ・オブ・インポータンス(PoI)」、「PBFT(Practical Byzantine Fault Tolerance)」の4種類を取り上げ、その特徴を整理した。
この4種類のコンセンサスアルゴリズムは、PoW、PoS、PoIのグループとPBFTで大きく特徴が異なる。ブロックチェーンのオリジンであるビットコインではPoWが使われているのはよく知られているが、PoSはPoWの応用、PoIはPoWとPoSを応用したコンセンサスアルゴリズムであり、いずれも「特定の管理者を介さずに合意形成ができる」という特徴をもつ。
一方、PBFTは特定のノード(コアノード)にブロックの生成権限を集中させ、コアノードによる合議制でトランザクションを承認する仕組みだ。当然、可用性の面ではPoW、PoS、PoIに劣ることになるわけだが、信頼できる一部のノードにブロック生成の権限を集中させることで比較的短時間でのトランザクション承認が可能になり、処理性能は上がる。
こうした各コンセンサスアルゴリズムの特徴を踏まえ、研究会の銀行間振込における実証実験では、PBFTに分類できる、bitFlyerが独自に開発したアルゴリズムを採用した。
2016年は、ブロックチェーンの業界団体が複数発足するとともに、実証実験プロジェクトも数多く立ち上がった。まさにブロックチェーン元年ともいえそうだが、11月30日には非常にインパクトの大きい実証実験の報告書が公表された。(取材・文/本多和幸)
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