既存ビジネスモデルの破壊か、進化か? ブロックチェーンの革新
<既存ビジネスモデルの破壊か、進化か? ブロックチェーンの革新>(33)アクセンチュアが投資銀行の導入効果を試算
2017/03/08 09:00
週刊BCN 2017年02月27日vol.1667掲載
ブロックチェーンは実際にどんな用途でどのようなメリットをもたらすのか。世界大手のコンサルティングファームである米アクセンチュアは、投資銀行におけるブロックチェーンの導入効果を試算し、その結果を公表した。(取材・文/本多和幸)
アクセンチュアは、ベンチマーキングサービス大手のマクラガン社と共同で、ブロックチェーンによる投資銀行の業務への影響やコスト削減効果などについて、データにもとづく分析を行ったという。
具体的には、世界の投資銀行上位10行のうち、8行を対象にブロックチェーンのインパクトを試算した。マクラガン社は毎年、大手銀行の包括的な財務調査を行っているが、これには、総勘定元帳から直接取り出した粒度の細かいコストデータを活用している。このデータとアクセンチュアの業務コンサルティングノウハウを掛け合わせて、ブロックチェーンの導入効果を試算したかたちだ。
今回の調査レポートでは、ブロックチェーンを「分散型台帳技術の総称であり、過去に類をみない高信頼性を担保し、複数の当事者が同一データにほぼ同時にアクセスすることを可能とする、新しいタイプのデータベース」と定義している。そのうえで、投資銀行の業務におけるブロックチェーンの有用性について次のように指摘している。
大手8行合計で年間80億ドル 以上のコスト削減効果
「投資銀行は現在、取引や顧客に関する情報などを保管した、各行独自の膨大なデータベースを抱えている。取引を完了するには、自行のデータと取引先や顧客のデータを照合し、認証する必要があるが、多大な労力と維持コストが伴う複雑なプロセスであり、エラーも起こりがちだ。最先端のソフトウェアや通信機能、暗号化技術を活用したブロックチェーン技術を導入すれば、投資銀行は細分化した個別データベースを維持する必要がなくなり、銀行横断的な分散型共有データベースへ移行することが可能になる。ブロックチェーン技術は、参加者間で検証済みの取引データを記した共有型デジタル台帳を実現し、取引データは、非改ざん性やユーザーに必要なセキュリティとアクセスを備えた状態で提供される」。
結果的に、銀行はリコンサイル(照合)にかかるコストを削減すると同時に保持するデータの質も高めることができ、多くのミドルオフィス業務やバックオフィス業務で大幅なコスト削減効果を見込めるという。
個別のコスト削減例としては、財務報告にかかるコストを70%、フロント部門やミドル・バック部門のコンプライアンス対応コストを30%~50%削減できるなどの可能性があるとしている。今回の調査対象である大手投資銀行8行については、インフラコストを平均30%、年間80~120億ドル相当削減できるなどの可能性があるとのことだ。
ブロックチェーンは実際にどんな用途でどのようなメリットをもたらすのか。世界大手のコンサルティングファームである米アクセンチュアは、投資銀行におけるブロックチェーンの導入効果を試算し、その結果を公表した。(取材・文/本多和幸)
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