武蔵コーポレーション(大谷義武代表取締役)が、経費管理基盤にIT導入補助金を活用し、コンカーの「Concur Expense Standard」を5月に導入した。事業の拡大とともに従業員数が増え、会社全体の経費精算業務の負担が増加。Concur Expense Standardで経費精算業務の軽減を実現することで、従業員の働き方改革を推進するとともに、生産性を高めたい考えだ。
【今回の事例内容】
<導入企業>武蔵コーポレーション
不動産売買から資産形成・保全までトータルに手がける個人向け資産運用会社。売り上げは過去5年間で約3倍と事業規模が急拡大している
<決断した人>
左から 志田宏樹 財務・会計部部長
吉田祐馬 上席執行役員 経営企画部部長
<課題>
従業員急増による財務会計部、営業職の経費精算処理の負担増加を解消したい
<対策>
コンカーの経費管理基盤「Concur Expense Standard」を導入することを決めた
<効果>
経費精算業務の効率化を図ることで、営業職の生産性が向上。また、クラウドサービスのため、システム導入、運用負荷が軽減することでIT部門の作業効率もアップした
<今回の事例から学ぶポイント>
営業職、経理、IT部門の働き方改革が実現できた
売り上げ、従業員とも前年比150%
武蔵コーポレーションは、事業拡大に力を入れている。2016年度の売り上げは前年比150%、従業員数も150%に増えた。今後も事業を拡大するため、人材の採用を積極的に進め、従業員数を5月末時点の120人から来期には200人まで伸ばす計画だ。従業員が急増するなか、経費精算処理における財務会計部および外出の多い営業職の負担が増大した。
営業職であるリーシングチームは、地域ごとにある仲介店舗を一人あたり一日20件ほど訪問する。そのほとんどが交通機関を利用しているため、交通費の精算業務の負担が営業職、経理部ともに大きかった。具体的には営業職はSuicaの履歴を毎日、訪問件数が多い時は一日に数度も駅で明細書を印字する必要があり、それをもとに手動でアプリに入力、計算し、部署内でのダブルチェックを経て上長の承認を得ていた。上席執行役員 経営企画部の吉田祐馬部長は、営業職は経費処理に「一日30分ほどかかっていた」という。
さらに経理側でも明細の計算・確認などに時間がかかり、月末になると6人いる経理スタッフの2~3人が経費精算処理にかかりっきりになっていた。財務・会計部の志田宏樹部長は「経費生産作業は時間にすると月80時間ほど、人件費としては月14万円(時給1800円で計算)の損失」と話す。今後、従業員数の増加に伴い、この負荷も増大していく。営業職、経理部の負荷軽減のため、経費精算システムの導入を決めた。
決め手はクラウド対応
16年末から3社の経費精算システムの比較を始め、17年2月にコンカーのConcur Expense Standardの採用を決めた。決め手となったのはConcur Expense Standardがクラウドベースで社内資産をもたなくていいこと、使いやすいシンプルなシステムであること、そしてIT導入補助金制度の対象であったことだ。
「持たざる経営」を実践している武蔵コーポレーションは、システムを自社でもつ必要のないクラウドサービスの採用を進めている。例えば、業務アプリ作成のためにサイボウズの「kintone」、帳票システムにウイングアーク1stの「MotionBoard Cloud」、賃貸管理にもISPのプライベートクラウドを採用している。Concur Expense Standardもクラウドベースのシステムで、システム導入、運用の負荷を軽減することができ、IT部門の作業を効率化できる。さらに来年には電子帳簿保存にも対応する予定だという。
「Concur Expense」の
スマートフォンアプリの画面
現在、武蔵コーポレーションでは、過去の領収書や書類などを保管するスペースが社内になく、倉庫をレンタルして保管している。そのため、過去の資料を探すことが実質的に不可能だった。書類などを電子化し、クラウドに保存することで、物理的な保管場所やコストを削減でき、さらに資料検索が容易になり、業務が効率化する。
経費精算の時間を大幅に短縮
経費精算の行程が非常にシンプルになることも大きなポイントだった。社内にICカードリーダーを設置することで、これまでは駅で明細書を印字していたが、社内で履歴を取ることができるようになった。そのまま交通費申請のデータとして活用できるうえ、申請や承認はスマートフォンのアプリ上からもできる。交通費の手入力、ダブルチェックの手間がなくなり、移動中などの空き時間で申請・承認が可能になる。この結果、これまで月約80時間ほどかかっていた経費作業時間を約18時間までと大幅に短縮することができた。
営業職や経理部からも「経費申請にかかる時間が短くなった」「楽になった」と高い評価が上がっている。
経費精算処理は、直接収益に結びつかない間接業務だ。負担が増えたからといってなかなか増員することが難しい。Concur Expense Standardの導入が、営業職、経理部、IT部門の3部門の効率化を実現し、生産性を高めることに貢献した。(山下彰子)