日本情報技術取引所(JIET)では、各支部で実施している商談会が主な活動となっている。東海支部も同様に、定期的に商談会を実施しているが、「クラウド・ITビジネスメッセ in 名古屋」という独自のイベントも開催。同イベントは、非会員も対象としたJIET最大級のイベントであり、地域の活性化やIT活用の推進に貢献している。5回目となる2017年は、8月7日の開催を予定。AIをテーマにした基調講演やAI特設コーナーなど、最新のITトレンドを取り込んだ盛りだくさんな内容になっている。(取材・文/畔上文昭)
JIET最大級の動員力
清川茂満
東海支部長
東海支部は、「クラウド・ITビジネスメッセ2017 in 名古屋」を8月7日に開催する。主催が東海支部で、共催がユーオス・グループ中部支部と東海地区愛徳会。後援には、中部経済産業局や愛知県、名古屋市、名古屋商工会議所のほか、各団体が名を連ねる一大イベントである。
同イベントの1回目は、清川茂満東海支部長が会長を務めるセントラルソフトサービスが企画し、さまざまなベンダーに声をかけて実施にこぎつけた。初めてでかつ、東海地区でクラウドがあまり普及していない状況でありながら、約400人の参加者を集めた。翌年の開催では、後援として東海支部が参加。約600人を動員。そして、現在では東海支部が主催し、約1000人が参加するイベントに成長している。
クラウド・ITビジネスメッセ in 名古屋の狙いについて、清川支部長は次のように語る。「東海支部では、東京の案件が中心となっていた。それも重要だが、地域の案件を創出することも必要と考え、クラウド・ITビジネスメッセ in 名古屋を実施している。実際、多くの参加者を集めることに成功し、地域の案件創出に役立つイベントになっている。また、JIETとしても、会員の枠を越えた活動を推進する方向にある。このイベントは、JIETの方向性に沿った活動であり、会員企業のアピールの場としても機能している」。今年も1000人規模のイベントとなる予定である。
クラウド・ITビジネスメッセ2016 in 名古屋の様子。多くの来場者でにぎわった
会員企業の新人教育を支援
東海支部は、新たな取り組みとして、会員企業の新人教育に注力している。主に、客先に常駐するエンジニアが対象だ。「客先に常駐するエンジニアの場合、雇用した企業側で十分な教育を施すことが難しい。また、新人教育をしてほしいとの声が東海支部のなかから出てきていた。そこで、新人教育を初めて実施してみたら、定員20人がすぐに埋まり、内容についても評判がよかった」と、清川支部長。今後も定期的に開催していくことを検討している。
商談会は毎月開催している。「最近は需要が多く、エンジニア不足の状態にある。そのため、案件は東海地区のものが中心となっている。ただ、この状態がいつまでも続くとは限らない。例えば、リーマン・ショックのときは案件が減り、商談が成立しない状態になった。JIETの会員は、商談を目当てにしているため、案件がなければ脱退してしまう。東海支部では、リーマン・ショック時に会員数が約3分の1に減ってしまった」。清川支部長は、リーマン・ショック時の反省から、JIETで案件を創出するような動きが重要だと考えている。それは、「ビジネスの創出と良い取引の成立を目指して」というJIETのスローガンとも一致する。
「景気のいいときにエンジニアが不足。不景気になると、案件がなく脱退する。無策では、これを繰り返すことになる。何とかしなくてはいけない」と清川支部長。クラウド・ITビジネスメッセ in 名古屋を開催し、地域での案件創出に注力するのは、景気に左右されがちなJIETの課題解消に向けた活動だと捉えることもできる。そのうえで、浮き沈みの少ない内容のある商談会になるというわけだ。
東海支部はまた、他団体との合同商談会も年に4回ほどのペースで実施している。さまざまな団体と交流することにより、人脈を形成し、新たなビジネスの創出を目指している。
これらの活動が奏功し、東海支部では少しずつ会員企業の数が増えている。「活気がある」と清川支部長は東海支部の現状を語る。今後も積極的に新たな活動を模索しながら、新規の会員を獲得し、地域経済の発展に貢献していく考えである。